南山大学

 

研究活動 活動報告

 

公開研究会

[開催日] 日時:2017年1月29日(日)15:00-17:00
[会場] 南山大学人類学研究所1階会議室
[講師]

Frédérique LOUVEAU(University Gaston Berger of Saint-Louis, Senegal)

概要

  • プログラム
  • <講演会概要>

    Frédérique LOUVEAU先生(University Gaston Berger of Saint-Louis, Senegal)をお招きして、公開講演会を開催した。講演タイトルは"Belonging to a Japanese Religion in Africa: Sukyo Mahikari in Senegal and Ivory Coast"である。日本の新興宗教教団である「崇教真光」が、西アフリカでどのように展開しているか、特に組織の特徴、政治権力や国家との関係に注目して分析することがテーマである。
     1959年に設立された「崇教真光」は、「お清め」の浄化儀礼と、「主神様」への感謝の儀式、そして社会活動を核としている。1960年代初めに世界展開を開始し、フランスを経由して西アフリカに伝わり、1970年代初頭以降、信者が増えていく。一方で、「崇教真光」はピラミッド型の組織で、日本の高山にある本山がアフリカ各国の支部の活動をもすべて統括しており、現地の状況に合わせてその教えや実践を変更することを認めていない。それでは「崇教真光」は西アフリカでどのように受け入れられていったのか。
     西アフリカにおける「崇教真光」の信者は、中産階級・公務員・女性に多い。彼女たちはキリスト教徒やムスリムであるが、同時に土着の妖術信仰の影響を強く受けている。給料の減少や能力を十分に発揮できない理由の多くが、妖術に帰せられる。そしてその妖術に対抗するための有力な手段として、「崇教真光」の「お清め」が導入されていく。また人(公務員や政治家)だけでなく、公共領域の浄化にも、「お清め」は有効であるとされ、ここにおいて「崇教真光」は政治とも密接な関係を持つこととなる。さらに「崇教真光」の信者は、浄化という観念を基礎として、サハラ以南の緑化運動に積極的に従事していることが紹介された。このように西アフリカにおける「崇教真光」は、妖術信仰を背景とし、それに接ぎ木する形で導入され、政治過程や社会運動に影響していることが明らかにされた。続く質疑応答では、西アフリカにおける「崇教真光」の組織構造や、「浄化」の概念などについて議論が交わされた。

当日の様子

コメントする清水氏

ルボー氏


会場の様子