南山大学

 

研究活動 活動報告

 

 

[開催日] 日時: 2015年7月4日(木)137:00-18:00
[会場] 南山大学R棟31教室
[講師]

藏本龍介、杉山三郎、後藤 明、藤川美代子、栗原伸治、清水郁郎

概要

  • プログラム
  • このシンポジウムでは人類学・考古学・建築学の研究者を招き、建築や住まい方を通してみえてくる人間のあり方について、様々な角度から議論を行った(参加者は約40名)。  
     杉山氏は古代メソアメリカのモニュメントおよび都市構造について、考古学・人類学の立場からの分析を行った。そして実測を通して、当該社会のコスモロジー、自然の認知の仕方、権力関係などを浮かび上がらせるというアプローチを提示した。
     後藤氏は、考古天文学、民族天文学のレビューを行いつつ、天体や宇宙を観察する、あるいは関与するためのある種の「民具」として建築を捉えるという視点を提示した。その上で今後の理論動向として、天体などに関する智慧としての「スカイロア」概念や、コスモロジーが全体的体系に統合された構造的な視点としての「コスモビジョン」概念の重要性を指摘した。  
     藤川氏は、中国福建省の水上居民の一家族の歴史を、人類学的なミクロな視点から分析した。それによって、水上居民にとっての「家」とは、どこかに特定できないようなつながり、ネットワークのようなものであると指摘した。  
     栗原氏は、建築に迫るための複層的なアプローチを紹介しつつ、建築を空間と読み替えるという視点を提示した。その上で、建築人類学が対象としうる問題として、そこに住む人びとの感覚やアイデンティティを規定するような「空間の力」や、心理的・生理的な変化と空間認識の関係性などがありうると指摘した。  
     清水氏は、北タイの山地社会の住まいを対象とした分析を行った。そしてこの地域の住まいがとても暗いのはなぜかという問題に対して、外からの解釈で意味づけをするのではなく、内側の人の語りに寄り添うことによって、近代建築の機能性や合理性を超えた、豊穣な意味を持つ住まいのあり方を明らかにした。  
     以上の発表を踏まえ総合討論では、フロアからの質問票に言及しつつ、研究対象としての「建築」とはなにか、「建築」に対してどのようにアプローチできるか、人類学・考古学・建築学の協働可能性、といった問題について、登壇者による意見交換を行った。
     またシンポジウムに先立ち、エクスカーション「南山大学の建築探訪」を実施した(参加者は約20名)。はじめにM田氏によって、南山大学名古屋キャンパスの歴史と、設計に関わったアントニン・レーモンドの業績およびその建築的な特徴が紹介された。その上で、神言神学院をはじめ、レーモンドが手がけた構内の建築物を見学した。

当日の様子

エクスカーション(神言神学院)

発表の様子

質疑応答の様子