南山大学

 

研究活動 活動報告

 

Reflections on a New Guinea fenceChanging points of view in Technologie Culturelle (1970-2015)

[開催日] 日時: 2015年1月31日(土)13:30-17:30
[会場] 南山大学人名古屋キャンパスR棟1F会議室
[講師]

Pierre Lemonnier (Aix-Marseille-University, CNRS, CREDO),
Frederic Joulian (CNRS-EHESS, UMR 8562, Centre Norbert Elias, Centre de la Vieille Charite)

概要

  • プログラム
  •   講演の冒頭、ルモニエ氏の弟子ともいえるフレデリック・ジュリアン氏からルモニエ氏の業績についての紹介があった。  
     続くルモニエ氏による講演"Reflections on a New Guinea fenceChanging points of view in Technologie Culturelle (1970-2015)"が行われた。ルモニエ氏はマルセル・モースからアンドレ・ルロアグーランにいたるフランスのanthropologie des techniquesあるいはtechnologie culturelleの系譜をたどり、最新の著作Mundane Objects: Materiaity and Non-Verbal Comunicationをアクターネットワーク理論などの対比で論じた。その中でルモニエ氏は自らのフィールドに近いバルヤ族を調査したマルクス人類学の泰斗モーリス・ゴドリエの理論に触れた。ゴドリエは技術の重要性は唱えたが実際に彼が分析したのは技術の効率であり、技術の構成やシェーン・オペラトワールなどはブラックボックスになっていると指摘した。  
     次にルモニエ氏は自らの調査から具体的事例を取り上げて論じた。豚の進入を阻止する畑の柵や円形の住居がなぜあれほど手の込んだ作り方がなされるのかと問うている。近隣の集団では同じ目的をもっていても簡素なものが作られるからで、機能差や環境条件では説明がつかない。これらの施設はイニシエーションを一緒に受けた同年代の男性や姉妹交換を特徴とする姻族の男性との共同作業で製作される。その活動自体が男性共同の発現の機会であり社会組織や儀礼に裏打ちされている。事実、そのような婚姻システムや儀礼が衰退した近隣の集団では、これほど手の込んだ施設の製作も消滅している。このような観察により、ルモニエ氏は物質文化は社会や儀礼と互いに依存する関係としてトータルにとらえる方法論を主張した。  
     このあとアメリカの M.シファーらの唱える行動考古学との比較や言葉で表現できない技術的行為に迫る方法などフロアから質問やコメントが寄せられた。  ルモニエ氏の講演原稿の翻訳は次年度の『人類学研究所:年報人類学研究』に掲載予定である。

人類学博物館にて。京大在来知研究会の金子助教と重田教授とともに

ルモニエ氏(右)とジュリアン氏

ルモニエ氏の熱の入った講演