南山大学

 

研究活動 活動報告

 

5大学研究所連合公開研究会「民具と民芸」

[開催日] 日時: 2014年7月5日(土)13:30-17:30
[会場] 南山大学人類学研究所1F会議室
[講師]

濱田琢司(南山大学人類学研究所) 、佐野賢治(神奈川大学日本常民文化研究所) 、 小川直之(國學院大學折口博士記念古代研究所)、印南敏秀(愛知大学総合郷土研究所)、小島孝夫(成城大学民俗学研究所)、後藤 明(南山大学人類学研究所)

概要

  • プログラム  ポスター
  • 昨日開催された5大学研究所連合公開研究会は盛会のうちに終了した。この研究会は在京三大学、成城大学、國學院大學および神奈川大学の間で始まった連合研究会を昨年度は豊橋の愛知大学で開催したさい南山大学も参加して、5大学の連合研究会となっていたものである。本年は南山大学人類学研究所が開催を担当した。  
     まず冒頭では南山大学の濱田琢司氏が民具と民芸との対話の歴史について、とくに民族藝術学会第17会大会での民具研究者と民芸研究者の対話とすれ違いから議論を始め、あらためて民芸の定義を、(1)商品への視点、(2)使用コンテクストの転換、(3)「用の美」における「用」という側面から捉えなおす試みを提唱した。  
     神奈川大学の佐野賢治氏は渋沢敬三の民具研究のスタンスを柳田國男や折口信夫、あるいは宮本常一などと比較の上で論じた。さらに数々の「民」、すなわち民俗学、民族学、民芸運動、民話運動などの出現の歴史的背景にも言及した。  
     國學院大學の小川直之氏は折口信夫の知られざる側面、すなわち民具や物質文化への関心を、折口のフィールドノートのスケッチや愛読書の書き込みなどから掘り起こし、折口研究の新たな地平を示した。  
     愛知大学の印南敏秀氏は京都のタケノコ掘りとその道具「ホリ」を取り上げ、その民具としての優れた機能美だけではなく、それを使う技の美、そしてタケノコという食文化そのものの美について統合的な視点を提唱した。  
     成城大学の小島孝夫氏は自らの学生時代から説き起こし、民具研究ととももに歩んできた歴史、その中で体験した葛藤や問題意識、さらに学生の教育と現地の話者との関係性の構築などについて、民具研究の指針となるような提唱を行った。  
     これらの発表に対し、元興寺文化財研究所の主任研究員角南聡一郎氏がコメントを加え、民具・民芸研究におけるスケッチや実測図の意義、民俗学・人類学における図の意味について議論を喚起した。またさまざまな「民が」日本の歴史あるいは学史の中で出現した意味について、小川氏の方から問題提起があり、活発な討論が繰り広げられた。

当日の様子

研究会の様子

研究会の様子

研究会の様子