南山大学

 

研究活動 活動報告

人類学研究所共同主催・南山大学考古学講演会 「モノをして語らせる:モノに残された痕跡から真実を探る-レプリカ法によるアプローチ」

[開催日] 2013年11月29日(金)17:00〜19:00
[会場] 南山大学名古屋キャンパスR棟R31教室
[講師] 元東京国際大学教授 丑野毅 氏

概要

  • プログラム
  • この講演会ではレプリカ法がどのようなものかを1部、2部に分けて説明していただいた。1部では土器が中心、2部では石製品、金属製品など土器以外に対するレプリカ法の活用の実例が中心であった。 レプリカ法は土器の場合、紋様や何かが混入した痕跡の空間に印象材を注入することによって施紋具、痕跡の原因となったものの形を復元しそれを観察、分析するというものである。使用する印象材は硬化した後でも弾性があり、変形が少ないものが適しているとされている。土器以外の物に対しても加工痕、使用痕、遺構における採掘痕の分析にも応用することができる方法として注目されている。 講演の前には博物館事務室にて愛知県名古屋市熱田区高蔵遺跡出土の遠賀川式土器(籾圧痕土器)でレプリカ法を実演していただいた。まず土器のレプリカを取る部位の簡単な洗浄を行い、印象材が染み込まないように土器に水をたくさん含ませた。表面の水だけきれいに拭き取り、朱材と硬化材を混ぜ合わせて籾圧痕のレプリカを取るために塗りつけた。印象材が固まるまでに20℃で8分程度の時間がかかるため、竹串や指で籾圧痕と印象材の間に水や気泡が残らないようにしっかりと押し込み湯を垂らして硬化を促進した。印象材が固まったら土器から剥がして洗浄し、ルーペで観察を行なった。 レプリカ法の利点として強調されたのが、非破壊非汚染で行え、特に困難な技術を必要としないことである。また目的によって観察に使う道具を選択することができることや、レプリカが第三者の検証対象になることも重要な点として挙げられた。 この講演会はレプリカ法がいかにモノに残されたささいな痕跡から製作過程や混入物などを復元・観察することができるか、レプリカ法の手順や利点を実例と共に視覚的に理解することができる大変有意義なものであった。

当日の様子

講演する丑野先生

コメントする渡部森哉研究所員

コメントする大塚達朗教授