南山大学

 

研究活動 活動報告

ワークショップ「ワヤンベベルと現代バリ芸術」

[開催日] 2012年10月05日(金)17:00〜19:00
[会場] 南山大学名古屋R棟フラッテンホール
[講師] 「ウロツテノヤ子」および主管小谷野哲郎氏、ワヤン・ベベル創作者のデワ・スギ氏

概要

  • プログラム
  • バリ島やジャワ島に伝わる影絵人形劇ワヤン・クリッ(wayang kulit)は、世界無形遺産にも登録された、インドネシアを代表する伝統文化のひとつです。マハーバーラタやラーマーヤナといったインド由来の叙事詩をおもな題材に、ダラン(dalang)と呼ばれる人形遣い兼語り手が、美しいガムランの音色に合わせてユーモアに満ちた物語を語ります。今回は、人形をもちいたワヤン・クリッのいわば布絵版であるワヤン・ベベル(wayang beber)を取り上げました。  もともとジャワ島にワヤン・ベベルはありましたが、ジャワ社会がイスラーム化していく中でワヤン・クリッがより普及していったのにたいし、ワヤン・ベベルは廃れていきました。また、ジャワからヒンドゥーの文化遺産を受け継いだバリ島において、ワヤン・クリッはいまも根強い人気をもっていますが、ワヤン・ベベルはバリには伝わらなかったようです。今回取り上げたワヤン・ベベルは、そうしたジャワの古典文化であるワヤン・ベベルにヒントを得て、気鋭のバリ芸術家があらたに創作した現代芸術といってよいものです。  ワークショップは、第1部はグループ「ウロツテノヤ子」(代表 小谷野哲郎氏)による「ワヤン・ベベル」の上演、第2部は小谷野氏、ワヤン・ベベル創作者のデワ・スギ(Dewa Sugi)氏によるトークセッション「ワヤン・べベルと現代バリ芸術」の2部構成でした。1部では、14世紀のジャワのマジャパヒト王国の宮廷詩人タントラールが記した仏教典物語「スタソーマ」をモノクロ細密画として描いた絵巻に合わせ、日本人のダランが、ガムラン音楽の伴奏とともに、人間の生と欲望の究極の意味を問う物語を上演しました。第2部では、古典や伝統文化が現代の芸術になおも強いインスピレーションとフレームワークを与えつづけているバリの芸術文化について、小谷野氏とデワ・スギ氏に語っていただきました。

 

当日の様子

絵巻を前に熱演する小谷野さん

休憩時間中熱心に絵巻に見入る聴衆

絵巻の背景を説明する小谷野さん、スギさんと司会の吉田竹也所員