2003年5月の雑記





≪5月3日≫

★こないだ薬局にカサを忘れた。私は黄色い学童ガサを今も愛用している(ここをご参照あれ)。「子供っぽい」、「似合わない」、「変だ」などと言う人もいるが、平気である。おしゃれでたいへんよろしい。こないだ空を見てちょっと降りそうな気がしたので持って出たのだが、結局降らなかったので、つい注意がオロソカになってしまった。薬局で薬を買ってお金を払う時にカウンターに引っ掛けたまま忘れて出てしまったのである。若い女性の店員さんが親切にも電話をかけて教えてくれた。別に私の知り合いだからではなく、カサの柄に名前と携帯の番号を書いておいたからである。マナーモードにしてあったので留守電にメッセージが残っていた。

私はこのカサが学童ガサなものだから不調和にならぬようにと思い、ひらがなで名前を書いていた。「いのうえじゅん090-XXXX-XXXX」。連絡をくれた店員さんは、たぶん小学生の子供が取りにくると思っていたと思う。ところがそこへ、私のようないい年のオヤジがのこのこ現れたものだから、ま!もうびっくり!という顔をしていた。普段使っている時は何とも思わないのだが、この時には、さすがに私も恥かしかった。




≪5月4日≫

★久しぶりに四谷通にある脇田書房という古本屋に行ってきた。古本屋の中には風俗物ばかりを扱っているちょっといかがわしい店もあるが、ここはそうではなく、むしろ堅い専門書を中心に置いている正統な古本屋である。いりなかにある山中書店と並んで、私が学生時代からよく利用している古本屋だ。けっこう掘り出し物の絶版本や品切れ本が見つかることもある。いりなかの方には他の用事で行くことが多いのだが、四谷通(本山)の方にはあまりいく機会がない。脇田書房を訪れるのは本当に久しぶりである。留学から帰ってきてからまだ行ってなかったから、およそ10年ぶりだということになる。

この本屋にはちょっとした思い出がある。学生の頃、この本屋で本を物色していて、ふと目に付いた創文社刊の古びた哲学書を手にしたところ、元の値が4,500円くらいなのに、30,000円という高値が付いていた。私は古本は新品より安いものと思い込んでいたので大いに驚き、これは何かの間違いだろうと思って、おじさんに、「この本、ゼロがひとつ多いんじゃないですか?」と言った。そしたら、「ばか者!本の価値を知らんやつだ!」とさんざんに叱られたのだった。それがきっかけとなって、このおじさんとはちょっとした知り合いとなり、本を買いにいくたびに挨拶し、二言三言言葉を交わすようになった。しかし今度はあまりにもご無沙汰しすぎていたので、もう覚えてはいないだろうと思い、挨拶もせずに本を眺めていた。ところが、おじさんの方から、「ひさしぶりだね〜」と声をかけてくれたのである。ちゃんと覚えてくれていたとは・・・うれしかった。探していた本が何冊か見つかったので購入。この本屋には良い本が揃っている。学生の頃にはどの本にどのくらいの価値があるのかよく分からなかったが、今では自分の専門分野の本なら、だいたい分かるようになってきた。置いてある本の種類によって、その古本屋のプライドやこだわりもおおよそ知ることができる。ようやく私も大人として本に接することができるようになったのかも知れない。



≪5月7日≫



★一時私の掲示板で論議されていたハラミとハラスのことを、ちょっとまとめてみたい。話題の主は、上の写真の「焼さけハラミおにぎり」である。ローソンで売られている。たいへん美味な良いものである(ちょっと高いですけど)。

コトの起こりは先日私が東京に赴き、かつての行きつけの店である吉祥寺駅前の居酒屋で飲んだことにある。この店は鳥の「ツクネ」が絶品であった。ところが・・いかなるわけか、この日のツクネは全然ダメであった。姿形は昔のままだし、焼いているおじさんも同じ人のようなのだが、明らかに味が落ちているのだ。

「せっかく吉祥寺まで出てきたというのに・・・」

と、別にこの飲み屋でツクネを食べるために東京に出て来たわけではなかったのだが、このツクネのあまりの零落ぶりに私は落胆し失望し憤りをさえ覚えたのである(ついでながら私はツクネが大好物である)。ま、しかしツクネについてはひとまず置いておこう。憤りにかられた私は、何ぞこれに代わる旨いものでも食べないでは到底帰れぬぞと心の中で個人的にジクジクと思いつめ、黒板に書かれた「今日のおすすめ」をギラリとにらんだのである。するとそこには、私がかつて見たことのないメニューが載っていた。

「ハラス焼き」

である。ハラス?私の目蓋には「カマス」がひらひらと舞を踊っている姿が浮かんだ。いやいやこれはカマスではなくハラスなのだ。しかしハラスとは何ぞや。もしかしたら何か「ハラスメント」に絡めたジョークなのだろうか。私はそこで店員さんに、「これは・・魚ですね?」と念のため聞いてみた。やはり魚らしい。なるほど。私はそれを食してみることにした。

ところが、しばらくして出されたのは、何のことはない普通の鮭のハラミであった。だがとても脂がのったやつを上手に焼き上げており、これは非常に美味であった。うんうん、よろしい。これで帰れる。私はかなり気分が回復した。東京では鮭のハラミをハラスと言うようである。あちらの友人によると、鮭にハラミなんて言い方は聞いたことがない、それは焼肉の一種だろうという。そこで私は名古屋でよく食べている上の写真の「焼さけハラミおにぎり」に思いをはせたのである。ローソンは東京にもむろんある。では東京の製品には「焼さけハラスおにぎり」と書いてあるのだろうか、と。そして、もしそうなら、

「名古屋のハラミを東京でハラス」

ということになってしまうではないか、と。(だから何)。〔→「江戸のうらみを長崎ではらす」(江戸の敵を長崎で討つ)という、ことわざがあります。〕
残念ながら私は東京のローソンに赴いて事の真相を確認することができなかった。そこで東京の友人に確認を依頼したのである。その友人が報告してくれたのは・・・

≪研究結果をご報告いたします。先ほどの投稿のあと、ハラミ焼きおにぎりを確認するためだけにローソンを探し、そしてそこにそのおにぎりが無かった場合、お店のかたに「はらみ焼きおにぎりありますか?」などと聞いている自分のすがたを想像すると、せつなくなりましたのでネットにて「ローソン おにぎり」で検索いたしました。その結果「新潟こしひかり 焼きさけはらみ」というおにぎりをみつけました(160円!!)。ということでひとつ。≫

ご協力どうもありがとう。なるほど、そりゃそーだ。東京でもだからたぶん「焼さけハラミおにぎり」なのである。しかしな〜。ブツをナマでジカに見たというのでなければ、まだ釈然としないものが残る。真理探究の道にやや焦燥感が生じていたそんな私のところへ、おりしもアメリカは首都ワシンントンに留学中のあちらの大学の後輩にあたる(先輩の私よりはるかに優秀な)某女史から次のような情報がもたらされた(一部省略あり)。

≪私の記憶が確かなら… ハラミ=(主に)牛肉の横隔膜。蛋白質が多くて適度にしもふり、ということで脂が多すぎず、少なすぎず、味もしっかりしていて、うまうま。ハラス=(主に)鮭の骨の間の身の肉で、脂がものすごくよくのっていて、知る人ぞ知る、鮭の一番美味しいところ、で、これもうまうま。(或いは皮のすぐ下の脂ののったところの方が美味しいという方もあるかも知れません。)…ということではないかと。≫

更に、次のような新事実も!

≪まぐろでいうトロみたいな部分だったら、ハラス=ハラミですね、きっと。北海道ハーフ(謎)の私としては、鮭に使う時はハラスであって欲しい、という気もしますが道産子弁なのかも知れません。ちなみに、一番美味しい鮭は時鮭(ときしらず、と読む)。ルイベも時鮭のが脂がよくのって大トロみたいですばらしーです。お酒には絶対合うと思うので、学会などで北海道方面にお出かけの際は、絶対お試し下さいませませ!≫

鮭もたいへんだ。或る時にはハラミ、或る時にはハラス、また或る時にはシラズ。ザビエルハウスでも前に一度鮭を「サケ」と読む時と「シャケ」と読む時の区別について討論されたことがあった。鮭に関しては事が複雑なのである。

ま、よい。何にしろ、東京のハラスは名古屋のハラミであることは明らかである。先ほどの東京の友人にヒントを得てウェブを検索したところ、次のようなローソンのおにぎり宣伝文句を発見した(一部省略あり)。

≪『おにぎり屋』第一弾として登場する「新潟コシヒカリおにぎり」は、コシヒカリの中でも最高級の“新潟産”のお米を使用した自慢の商品です。おにぎりの上に具材を乗せていた製法から、ご飯で具材を包みこむスタイルに変更しどこから食べてもご飯と具の味わいを同時にお楽しみいただけるようになりました。さらに、具材にもこだわり、『焼さけハラミ』ではサーモントラウトのハラミ(鮭の腹部、まぐろではトロに相当する脂ののった部位)の切り身をじっくり丁寧に焼き上げ、『生たらこ』ではアラスカ産の良質な甘塩たらこを手を掛けて裏ごしにするなど、今まで以上に素材を厳選すると共に、手間ひまをかけて一味違う味に仕上げています。≫

ふうむ。いかにもおいしそうだ。この他にも「昆布シメ明太子おにぎり」なんぞもかなりイケるのですぞ。しかし何はともあれ、図らずもここに驚愕の事実が発見されたのである。

≪『おにぎり屋』開店! (株)ローソン(本社・大阪府吹田市)では、社内横断的な商品開発チーム「ILOVEローソンおにぎりプロジェクト」を発足させ、コンビニの主力商品である“おにぎり”の全面見直しに取り組んでまいりました。そしてこの度、素材と製法にこだわった新しいおにぎりのブランド『おにぎり屋』として2002年11月5日(火)から順次、全国のローソン=7618店(2002年9月末現在)で発売いたします。≫

なんと!ローソンは大阪の会社だったのだ。大阪ではきっと、「鮭の腹部、まぐろではトロに相当する脂ののった部位」をハラミと言うのである。何だぁ、そうだったのか。つまり、大阪弁のハラミが全国を駆け巡っているというわけなのである。もしこの会社が東京のものだったとしたら、このおにぎりはほぼ確実に「焼さけハラスおにぎり」と命名されていたであろう。そしてもしこれが北海道の会社だったとしたら、「焼トキシラズおにぎり」となっていたであろう。運命のイタズラとはこういうことを言うのかも知れない・・・(たぶん違う)。



≪5月10日≫

★昨日はザビエルハウスのメンバーが主催して、私の誕生祝いバーベキューをしてくれた。いつもの友だち、新しいお友達、珍しいお友だちなど、約30名ほどの方々が集まってくださった。お越しくださいました皆様、どうもありがとうございました。久しぶりのバーベキューであった。バーベキュー名人のパラグアイの2人がいないのでちょっと不安であったが、今のメンバーもなかなかどうして上手であり、大活躍してくれて、とても楽しい集いになった。普通バーベキューというと庭に出て炭火を皆で囲みながら肉や野菜を焼いて食べるという情景を思い浮かべると思うが、うちの場合は少し異なる。台所の外側にひさしの付いたスペースがあり(元は洗濯物を干すところだったようだ)、そこで炭火を焚く。材料を台所で切ったり串刺しにしたりして窓越しに外の人に渡して焼いてもらい、焼けたものから順次その窓から受けとり、食堂のテーブルへと運ぶという仕組みである。したがって、「台所チーム(食材をさばく人)」、「戸外チーム(焼く人)」、「食堂チーム(食べる人)」という具合に人々は3つのグループに分かれる。圧倒的多数なのは、むろん食堂チームである。基本的に台所チームと戸外チームはボランティアでやってもらっている。こう言うと食堂チームの人々だけが楽をしていてズルイように聞こえるかも知れないが、台所チームも戸外チームもそれぞれにワイワイと楽しくやっているので問題はない。それに、台所チームの人は調理しながらいろいろとツマミ食いができるのだし、戸外チームは焼きたての物を最初に食べることができるのである。材料はその日の午後に何人かで買出しに行った。うちの料理長の吉原さんに案内してもらって卸売り市場のようなところへ行き、かなり安い値段で肉やら魚やらを買うことができた。自分が食べたいものを選ぶことができるので、この買出しチームもなかなか楽しいものである。



≪5月11日≫

★先日の誕生会ではいろいろな方々からいろいろなプレゼントをいただいた。どうもありがとうございました。たとえば次のようなプレゼントをいただいた。



こ、これは・・レゴ・カバンとでも言ったらよいのだろうか。大学2年生のM-von氏とAちゃんからのもの。これってひょっとしたら、「対象年齢3才以上」と書かれているようなモノなのでは? そのカバンの上に乗っているのは、N-von氏がくれたプー熊のえーと・・これは何と言うのだろうか・・携帯電話によくくっつけられている一種の飾りである。両方とも、「どうか毎日使ってください」とのことであった。・・・どうもありがとうみんな。心の底からボクはうれしいよ。でも・・これは・・さすがの私もちょっと使えませんですぅ。たとえばこれをもって授業に出かける私の姿をちょっと想像してごらんなさい・・・極めて異様である。そうだなー、違和感を感じていただくため、周りにちょっと哲学書をあしらってみましょう。



・・・ほらね、変でしょ? このカバンからこういう書物がワサワサと出てきた日にゃあ、ソフィーの世界も真っ青である。だから、このプレゼント、感謝の気持ちと共に大切に大切にお蔵に納めさせていただくことにいたしまする(お蔵なんてないから部屋の中のどこかにだけど)。どうもありがとね。




≪5月18日≫

★17日(土)ー18日(日)にかけて、「キリスト教学科新入生オリエンテーション合宿」が南山学園研修センターにて開催された。マジメな勉強の時間ばかりだったわけではなく、学科の先輩たちを交えてのバーベキューや、教員との交流会などもあり、とても楽しい雰囲気の合宿であった(すぐ日が暮れて暗くなったのでバーベキューの時の写真があまり撮れなかったのが残念)。


   

新入生のためのオリエンテーション合宿が開催されたのはキリスト教学科では初めてのことである。この合宿がこうして実現したのは、ひとえに教員の皆さんや学生スタッフの皆さんの献身的なご尽力のおかげである。最初の試みにしては大成功だったと言えるのではないだろうか。新入生の皆さんにとってこの合宿が、これからの大学生活を充実したものにするために役立ってくれるとうれしい。関係者の皆さま、そして貴重なアドバイスを与えてくださった皆さま、ご協力本当にありがとうございました。

 

さてと・・・楽しかったけど、さすがにちょっと疲れたなー。お風呂にでものんびり入りに行こうかな。

 

学生スタッフのみなさん、どうもありがとう。



≪5月21日≫

★久しぶりに南スコ(南山スコラ・カントールムの略)の練習に出た。今年から活動を開始したこの合唱クラブの練習用オルガン係として、私は参加させてもらっている。ところが今年私は学校の業務がこれまでになく多く、残念ながらなかなか参加できないでいる。今日はちょうど時間が空いていたので参加できた。しかしオルガンを弾くのが本当に久しぶりだったので、やたらとハズシまくってしまった・・・すまんみんな・・・。

こりゃぁマズイ・・やはり無理にでもちゃんと時間を作って練習をしなければならぬ、と大いに危機感を感じた私は、今日久しぶりに神学院でオルガンの練習をした。私はたいてい夜に練習をする。去年までは、夜8時まで研究室で仕事をした後に神学院の聖堂に寄り、9時半頃まで練習をしてザビエルハウスに帰るというパターンをとることが多かった。大学とザビエルハウスのちょうど中間に神学院があるのだ。ところが今年は仕事に追われて10時頃まで研究室で仕事をしていることが多く、オルガンの練習をせずに真っ直ぐ家に帰ってしまっている。しかし今日はぜひとも練習せねばと思い、8時半ごろ研究室を引き上げ、神学院に行った。玄関を入ると、神学院の受付にはまだ私が面識のない女性が座っていらっしゃった。新しいアルバイトの方のようである。とりあえず通りすがりに「こんにちは」と軽く挨拶して聖堂に向かう。ところがしばらく練習していると、さっきの受付の女性が聖堂2階のオルガンの所までやってきて、訝(いぶか)しげに、「使用許可はちゃんと取っていますか?」とお尋ねになった。どうやら私は不審な怪しい男と思われたようである。たまにしか練習に行かないからこういうことになるのだ・・・私は反省を余儀なくされた。それにしてもこの受付の方、勇気を出して一人で不審な男をチェックしに来るとは、なんと職務に忠実な人なのであろうか。すっかり感心してしまった(・・幸いあまり凶暴な男には見られなかったようである。よかった・・)。



≪5月22日≫

★南山大学の日本語学校(Center for Japanese Studies)は先週の土曜日に終業式があった。これから9月までは夏休みである。その学校で日本語を勉強しているうち(ザビエルハウス)の住人たちは、したがって、しばらくの間ヒマになる。いいなあ。そこで、このヒマな時間を利用して、毎年少しまとまった労働プロジェクトを行ってもらうことにしている。今年のプロジェクトは、「玄関のドアと台所の壁のペンキ塗り」である。(プロジェクトの内容を決定するのは、実際の作業には加わらないところの院長、すなわち私である。ふっふっふっ。こういう時、たとえて言えば、まるで時代劇の悪代官にでもなった気分になる)。

さて、ペンキ塗りという作業は簡単なようだが実際にやってみるとけっこう大変である。ことに鉄でできている玄関のドアはかなり傷んでいて、表面を削ることからやらなければならないのでやっかいだ。でも、ま、時間はたっぷりあるんだから、がんばってくれ(・・人ごと)。その作業に必要な用具を、今日の午後みんなで一緒にハイエースに買いに行った。6名全員で出かけるのは久々のこと。荷物の「持ち手」がたくさんいるからと、嵩(かさ)むものもついでに色々と買っておいた(たとえば生活に必要不可欠なカップラーメンなど)。

全員そろうのは珍しいので、久しぶりに一緒に外で食事をすることにした。ハイエースの近くにある「王将」(中華料理)に行く。この店は、べらぼうに安いので有名である。かつ、料理が出るのが早い。我々はよく利用させてもらっている。味も悪くないと思う。ただ、安いためについついたくさん注文し過ぎてしまうのが問題である。初めはおいしく食べているのだが、あまりにも注文した料理の量が多すぎて、最後には苦しくて口も利けなくなるほど満腹になってしまうのだ。毎回も6名皆が限界ぎりぎりまで満腹に食べた。それでも料金は合計8,000円弱。なんて良い店なんでしょう。



≪5月25日≫


Copyright Disney All rights reserved

★ザビエルハウスのみんなで、遠足としてディズニー・シーに行ってもらうことにした。以前からディズニー・ランドかシーにぜひ行ってみたいという要望は出されていたのだが、「そんな贅沢なことダメ!」と私が頑(かたく)なに拒んできたのである。ところが、とあるスジから、「バスで行くと安いよ」という情報を得た。そこで調べてみたところ、本当に安く行けるようなのである。ディズニー・シーの入場券(パスポートと言うらしい)込みで13,800円である。(ちなみに、JR東海が出している新幹線「ひかり」の「東京ディズニーリゾート入場券付き往復キップ」は、大人ひとり24,980円である。) 

でもまあ考えてみると、ディズニー・シーの大人ひとりの入場料は団体の場合4,950円(個人だと5,500円)であるから、バス代は往復8,850円だということになる。JRバスで名古屋―東京の往復が8,760円だから、まあバス旅行としてはさほどの特別割引ではないようだ。しかし、このパックの魅力は、ディズニー・シーの入り口まで彼らを連れて行ってくれる(これで乗り換えの不安が回避できる)上に、入場券を最大限活用でき、それでいて宿泊費が全くかからない日帰りツアーだということなのである。コース内容は次のようになっている。

名鉄バスセンター4F(22時30分出発)〜豊明幼稚園前(23時発)〜知立駅前(23時20分)〜名鉄トヨタホテル前(24時発)〜(車中睡眠)〜東京ディズニーリゾート(8時頃着・閉園30分後発)〜(車中睡眠)〜名鉄トヨタホテル前〜知立駅前〜豊明幼稚園前〜名古屋(6時30分頃)

お分かりだろうか?つまり夜の10時半にバスは名古屋を出発し、翌朝8時頃にディズニー・シーの駐車場に到着する。9時の開門とともに中に入り、夜10時の閉館時間まで(13時間!)たっぷりと遊ぶ。そして10時半出発のバスに乗り、翌朝6時半に名古屋に戻る。このように、普通なら2泊3日の旅行となるところを強引に日帰りにしてしまうところがミソである。このツアーに参加したことがある人たちに話しを聞いてみると、皆さん口をそろえて過酷しんどいツアーだと言う。私自身は大学の授業の都合上一緒に行けないので、一緒に行って案内してくれる日本人の人を探してみたのだが、みんな、「バスツアーだけは勘弁してください」と言って断られた。なるほど、よほどキツイものであるようだ。よ〜し、気に入った!これはもはや「お遊び」ではない。修行である。この峻烈日帰りバスツアーに日本人ガイドなしで自力で頑張って行ってもらおう。事が修行とあらば大手を振って堂々と行かせてあげることができる。修道院世界に生きる人間は「修行」という言葉が大好きなのである。「遊びだ」と言うと皆が渋い顔になり、なかなか許可も下りないのだが、「これは修行だ」というとたちまち状況は一変し、もうディズニー・シーだろうがランドだろうがスタジオ・ジャパンだろうが、どうぞどうぞお行きなさい、たっぷりモマれておいでなさい、ということになるのである。今週の木曜日に出発の予定。どんな難行の旅をしてきてくれるのか、ふふふ、楽しみである(最近私はちょっと性格が曲がってきたかも知れない)。



≪5月31日≫

★29日深夜に「ディズニー海修行」に出かけたみんなが今朝早く帰還した。峻烈を極める過酷な旅程のため、ズタズタ・ボロボロになって帰ってくるかも知れぬと心配していたのだが、なんのことはない、みんな元気に「面白かったヨ〜!」とニコニコ笑顔で帰ってきた。なんだつまらん。いや喜んでもらえて何よりである。ムンカダさんのズッシリと重たい旧式のデジカメを借りて持って行ったのだが、それで136枚もの写真を撮ってきた。よほど面白かったに違いない。その一部をお見せしよう。いいなあ楽しそうで。


ザビエルハウスを出発 ディズニー・シー到着
困難は何もなかったようである おい誰だ、この美しいお嬢さんは

・・・というわけで、この人たちにこの旅行はちっとも苦行にも修行にもならなかったようである。しかしまあよい。明日から1週間、京都は宇治にあるカルメル会修道院でみっちりと「黙想」をしてきてもらうことになっている。この黙想会は毎年恒例の(というより義務の)1週間黙想会である。今年は宇治のカルメル会修道院にお世話になる。この厳粛なる修道院の高い塀の内側で、世俗の快楽を一切忘れ、修練にひたすら励んでくるがよい。さあゆけ〜!




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