これまでの研究(論文)

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■ 浦上昌則 2001 進路選択に対する考え方と職業不決断 アカデミア(人文・社会科学編) 72, 167-186.
 就職という観点からの進路に対する考え方と職業不決断の関連について検討を行い,不決断から見た場合に望ましい就職に対する考え方,また望ましくない考え方を探索した。進路に対する考え方によって調査対象者を分類し,それぞれの職業不決断の程度および様相を検討した結果,考え方によって職業不決断の様相が異なっていることが明らかになった。

■ 浦上昌則・林 雅代・石田裕久 1999 受講動機別にみた授業評価と満足度 アカデミア(人文・社会科学編) 70, 515-540.
 本研究は,授業方法や授業内容に対する評価のパターンを,学生の受講動機別に分析することを目的とした。その結果,受講動機によって学生の授業に対する意識や態度,さらにそれらの関連性が異なることが明らかとなり,大学の授業改善には,単に方法論的な改革だけでなく,履修システムの改編も必要なことが示唆された。

■ 浦上昌則 就職活動経験がその後の生活に与える影響について 1998 悠峰職業科学研究紀要 6, 5-13.
 本研究では,20歳代から30歳代の47名を対象に調査を行い,就職活動経験とその経験がその後の生活に与えている影響について検討した。その結果,自分自身への教訓的な気づきを得ることは,その後の生活の中でも肯定的な影響を与えていること。活動中の混乱は,活動中に解決されればよいが,解決されなければ以後の生活にもその混乱が残ってしまうことなどが明らかになった。

■ 浦上昌則・石田裕久・林 雅代 1998 学生による授業評価と満足度 アカデミア(人文・社会科学編) 68, 55-80.
 本研究では,7種類の授業において実施した学生の授業評価と,かれらの授業満足度の関連について検討した。その結果,学生の授業改善要求と授業満足感の関連は,はっきりとしたものではなかった。弱いながらも関連性を持つものから考えると,適切な板書を行うこと,この授業のポイントを明確にすること,一連の授業で何を伝えようとしているのかを明確にすること,などが学生の要求に応え,満足度を高めることになることが示唆された。

■ 速水敏彦・高村和代・陳 恵貞・浦上昌則 1996 教師から受けた感動体験 名古屋大学教育学部紀要(教育心理学科) 43, 51-63.
 本論では,中学,高校生を対象に,教師から受けた感動体験の作文を収集し,その分析を行った。397件の作文内容を分類したところ,姿勢・態度,雑談・会話,予想外の行動,叱責・説教,称賛・励まし,授業の内容・方法,問題の解決の7つとその他に分類できた。またその体験の影響としては,うれしい・楽しい思い出,人格的成長のきっかけ,勇気づけられた・動機づけられた,一生の方向に指針を与えた,などの分類を導くことができた。

■ 浦上昌則 1996 就職活動を通しての自己成長−女子短大生の場合− 教育心理学研究 44, 400-409.
 本研究では,進路選択に対する自己効力,就職活動,内定先の有無,就職活動を通しての自己成長感の関連を検討した。その結果,自己効力は就職活動を導き,さらに積極的な就職活動は内定先を得ることと関連していることが明らかになった。また就職活動を積極的に行うことは,就職活動を通しての自己成長感を得ることとも関連していることが合わせて示された。なお,内定先の有無は,就職活動を通しての自己成長感と関連しないという知見も得られた。
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進路選択に対する自己効力尺度(30項目版)

■ 浦上昌則 1996 「進路選択に対する自己効力」の育成に関する予備的研究−ワークブックを用いた育成方法について− 進路指導研究 17, 17-27.
 本論は,先行研究において構成した,進路選択に対する自己効力を育成するためのワークブックの効果を検討し,さらに今後の改訂の方針を探ることを目的としている。まずワークブックの効果については,約1カ月間の利用で,統計的には有意なものではなかったが,自己効力が向上する傾向が見られた。また2つの調査から,先輩達の就職活動についての意見を取り入れること,ワークブックの位置づけを明確にし,その限界をも利用者に示す必要性が示唆された。
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進路選択に対する自己効力尺度(30項目版)

■ 浦上昌則 1996 女子短大生の職業選択過程についての研究−進路選択に対する自己効力,就職活動,自己概念の関連から− 教育心理学研究 44, 195-203.
 本研究は,女子短大生を対象に,就職活動中における,進路選択に対する自己効力,就職活動,自己概念の関連および連続性について検討した。その結果,進路選択に対する自己効力が積極的な就職活動を導き,さらに就職活動は自己概念の明確化を促進するという仮説にしたがった連鎖が確認された。しかしこの関連は,教養学科生でのみ確認され,幼児教育科生では,特に就職活動と自己概念の間の連続性が十分に示されなかった。
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進路選択に対する自己効力尺度(30項目版)

■ 浦上昌則 1996 進路選択に対する自己効力育成のためのワークブック(ECS Workbook)作成の試案 1995年度教育心理学論集 25, 85-94.
 本論では,積極的な就職活動を導くと仮定される,進路選択に対する自己効力の育成を目標とするワークブックを構成することを目的とした。これまでの諸研究を踏まえて,ワークブックの内容は,自己や職業,決定方略についての情報を提供すること,選択過程に関する心理学的学習ができること,小さな達成感が得られることの,3つの点に配慮しながら選定された。そして,利用方法編,自己理解編,職業理解編,決定過程編の4部構成と内容を示した。

■ 小花和尚子・浦上昌則 1995 生き生き尺度の妥当性について−対人認知構造との対応−四條畷学園女子短期大学研究論集 29, 19-26.
 「生き生き」しているという認知は,対人関係の枠組みであり,またそれは活動性などの状況認知,満足感などの推量,肯定等の情的な認知などを含む包括的なものであると考えられる。そこで生き生きという認知と,基本的な対人関係認知構造との対応について検討した。その結果,生き生きという認知は,協調,緊密,気楽の軸と正の関連を示し,表面的の軸と負の関連を示すという,複数の認知軸と対応する包括的なものであることが示された。
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生き生き尺度改訂版

■ 浦上昌則 1995 学生の進路選択に対する自己効力に関する研究 名古屋大学教育学部紀要(教育心理学科) 42, 115-126.
 本研究では,大学生の進路選択に対する自己効力を測定する尺度を作成し,その信頼性および妥当性について検討することを目的としている。この尺度は,30項目から構成される。これを用いた調査の結果,作成された尺度は内部一貫性が高く,2週間の間隔をとった検査−再検査間の相関も高い,信頼性を持つ尺度であることが確認された。また,効力感尺度,職業不決断尺度との関連やSCTへの反応との関連から,十分な妥当性を持つものであることも示された。
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効力感尺度-II進路選択に対する自己効力尺度(30項目版)

■ 浦上昌則 1995 女子短期大学生の進路選択に対する自己効力と職業不決断−Taylor & Betz(1983)の追試的検討− 進路指導研究 16, 40-45.
 本研究は,進路選択に対する自己効力と職業不決断の関連を検討したTaylor & Betz(1983)の研究を,日本の女子短大生を対象として追試的に検討することが目的である。研究結果は,先行研究の結果とほぼ同じであり,本邦においても進路選択に対する自己効力と職業不決断の間に有意な関連性があることを示した。また新しい知見として,職業不決断の構造は情報・自信不足を中心要因としており,自己効力はこの要因と特に関連が強いことが明らかになった。
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進路選択に対する自己効力尺度(30項目版)

■ 浦上昌則 1995 就職活動と精神状態の関連についての予備的検討−女子短期大学生を対象として− 1994年度教育心理学論集 24, 1-9.
 本論では,まず就職活動中の学生の精神的健康に配慮する必要性を示し,さらに就職活動から受けるストレスについて,女子短大生を対象とした調査を基に検討した。調査の結果から導かれた知見は,就職活動でストレスを感じたことのある者は,活動を行った者の約2/3にのぼり,ストレス反応もより高いことである。またそのストレス反応の特徴は,身体症状,不安や不眠,うつ状態を示すことであり,社会的活動障害は特徴として認められなかった。

■ 浦上昌則・小花和尚子 1994 母親に対する認知が進路意識に及ぼす影響 四條畷学園女子短期大学研究論集 28, 51-62.
 娘は母親の姿を見て,自己の職業意識を発達させるという仮説に立脚し,さらにそこには,娘が母親を生き生きしていると見なす程度が影響しているという仮説を加え,これらの関連について検討した。母親の就労の有無と生き生き度の高低によって被験者を4分し,母親が有職で生き生き度が低い場合,その群は他の群に比べ,職業に就くことに期待する価値意識が低く,また職業選択に対する自己効力も合わせて低いことが示された。
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生き生き尺度進路選択に対する自己効力尺度(30項目版)

■ 浦上昌則 1994 女子学生の学校から職場への移行期に関する研究−「進路選択に対する自己効力」の影響− 青年心理学研究 6, 40-49.
 本研究では,短大から職場への移行期における進路選択に対する自己効力の影響について検討することを目的とした。自己効力の高低群別に検討したところ,その高い者の方が,就職活動への満足感が高く,また就職先への満足感も高かった。しかし,資料請求回数やセミナー参加回数等とは,明確な関連性が認められなかった。さらに自己効力の高い者の方が,就職後の仕事意欲も高いことが明らかになったが,ストレス反応が高いことも同時に示された。
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進路選択に対する自己効力尺度(35項目改訂版)

■ 浦上昌則・齊藤誠一・関 一・永井 享・山野 晃 1994 現代青年の行動様式に関する研究―価値観との関連― 神戸大学発達科学部研究紀要 1, 13-19.
 本研究では,青年の行動を,価値観の影響の程度によって分類し,対社会−選択行動,対所属小集団−選択行動,個人内選択行動,将来志向−選択行動に分類した。これらをもとに,価値観と行動の関連を検討した結果,対社会−選択行動はめったに顕在化しないが,価値観の影響を強く受け,個人内選択行動は顕在化しやすいが,価値観の影響を強くは受けていないことが示された。この点に,現代青年の個人主義の特徴が現れていると考えられる。

■ 永井 享・浦上昌則・齊藤誠一・関 一・山野 晃 1994 現代青年の価値観に関する研究2 神戸大学発達科学部研究紀要 1, 1-11.
 本研究では,現代青年の行動に及ぼす価値観の影響を高校生を対象に検討した。影響の程度は,行動時において価値を意識する程度,現実的な価値観反映度,理想的な反映度の3点から検討した。その結果,高校生は「価値観」という言葉を,実際にそのような行動をするか否かという判断そのものとして認識していることが明らかにされた。また,おしゃれや清潔志向的行動に対する意識の高さや,価値観反映の認識の高さが見られた。

■ 柳原利佳子・浦上昌則 1993 青年の「色気」観に関する一考察 神戸大学発達科学部心理学紀要 3, 47-54.
 本研究は,青年を対象として,女性の「色気」という言葉がどのように受けとめられているのかについて検討した。その結果,「色気」についてのイメージは,「性的魅力」と「伝統的女性魅力」の2因子構造であることが明らかになった。また全体的には,「色気」はよいイメージとしてとらえられているが,否定的イメージを持つ者は,「色気」の構成要因として「性的魅力」を強く認知し,「伝統的女性魅力」をあまり認めていなかった。

■ 浦上昌則 1993 効力感と生きがい感 神戸大学発達科学部心理学紀要 3, 11-17.
 本研究は,効力感と生きがい感の関連について検討することを目的とした。生きがい感を測定するPILテストと効力感尺度の相関係数を算出したところ,中程度の関連があることが明らかにされた。加えて,さらに詳しく検討したところ,自分の能力を認めている程度と生きがい感の関連が比較的強いことが示された。すなわち,自分の能力を高い程度のものとして自己認知することが,生きがい感形成の基礎のあると考えられる。
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効力感尺度改良版

■ 小花和尚子・浦上昌則 1993 女子短大生における母親の認知―「生き生き」とストレス―  四條畷学園女子短期大学研究論集 27, 19-28.
 本研究では,人を認知するときの枠組みとして「生き生き」という概念を用い,母のストレスを娘がどのように認知しているかについて検討した。その結果,母親を生き生きしていると認めている母娘間では,母の感じているストレスと娘の認知している母のストレスの間には大きなずれはなかった。しかし,あまり生き生きしているとは認知していない母娘間では,母親の感じている以上に,娘が母をストレスフルな状態として認知していた。
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生き生き尺度

■ 関 一・齊藤誠一・浦上昌則・永井 享・山野 晃 1993 現代青年の価値観に関する研究1 神戸大学発達科学部研究紀要 1, 127-138.
 本研究では,現代青年の行動に及ぼす価値観の影響を大学生を対象に検討した。影響の程度は,行動時において価値を意識する程度,現実的な価値観反映度,理想的な反映度の3点から検討した。その結果,従来の研究で価値観が強く反映されるといわれる行動(例えば政治的態度)の中に,そうとも言い切れない行動があることが示された。逆に,これまでには取り上げられてこなかった日常的な行動の中に,価値観が強く反映されるものがあることも明らかになった。

■ 浦上昌則 1993 進路選択行動についての心理学的考察−自己効力理論を用いて−進路指導研究 14, 52-56.
 本論では,まず,これまでの研究で見落とされてきた,進路指導にいて進路選択者の動機づけ要因に着目することの重要性を指摘した。そして,動機の把握とその高揚に向けた指導を行うにあたり参考になると考えられる自己効力理論について,その概要とこれまでに行われている研究結果を概観した。最後に,自己効力理論を用いて,進路選択過程の理解や,指導方法策定に必要な研究の方向性について指摘した。

■ 浦上昌則 1993 進路選択に対する自己効力と進路成熟の関連 教育心理学研究 41, 358-364.
 本研究は,進路選択に対する自己効力が進路成熟に及ぼす影響について,8ヶ月の縦断的調査を高校生を対象として行い,得られたデータについて検討した。その結果,教育的進路成熟(特に進学面)に対しては,進路選択に対する自己効力の明確な影響が認められなかった。しかし職業的進路成熟に対しては,その成熟の程度を維持するため,またはさらなる成熟のために,充分な進路選択に対する自己効力が必要なことが示された。
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進路選択に対する自己効力尺度(高校生用)

■ 浦上昌則 1992 効力感測定尺度作成の試み 神戸大学教育学部心理学紀要 2, 1-12.
 個人の持つ,領域を限定しない一般的な統制能力の認知されたものを効力感と呼び,これを測定する尺度を作成することを目的とした研究である。先行研究を基に尺度を構成し分析を行った結果,効力感は「行動の持続性」,「不安抑制」,「認知された能力」の3因子から構成されることが示された。さらに効力感は,統制の位置(locus of control)概念の,内的統制傾向と関連することが理論的に仮定されるが,それを支持するデータも得られた。
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効力感尺度

■ 浦上昌則 1992 価値観についての進路発達的研究 進路指導研究 13, 15-21.
 本研究では,女子短大生の進路発達と職業価値観の関連について検討した。その結果,進路発達の程度の高い者は,職業に就くことに対して,より強い価値実現の期待を持っていることが明らかになった。また進路発達の程度に伴い,個人の価値観は分化し,さらに進路発達の程度が高くなると,今度はそれが4因子に統合されていくであろうことが示唆された。
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期待価値尺度