2010年8月の雑記



≪8月1日≫

今年の春学期のラテン語原典解読課題の一つは、ホラーティウスだった。



ホラーティウス(前65〜前8年)は、 ラテン語文学黄金時代の代表的な詩人の一人。

カエサルがブルートゥスに暗殺されたり、アウグストゥスがローマ帝政を始めたりした頃に活躍した人である。

風刺の効いた詩で知られ、人間の愚かしさや浅ましさを、ユーモアを交えて嘲笑したり皮肉ったりしている。

今回読んだ箇所には、次のような言葉が書かれていた。(Saturae, I, 69-70)


 ところで、なぜ君は笑っているんだい?
 名前を取り替えれば、その物語は君について語られているのだぞ。


人の愚行や失敗を語った詩を読んで、君は大笑いしているが、
君だって同じようなことをしてしまうではないか。他人事ではないよ、ということである。

実はこの言葉を、夏目漱石が『三四郎』の中で使っている。

『三四郎』第六章にこう書かれている。


二人が話していると、向こうの方で、急に高い声がしだした。見ると与次郎が隣席の二、三人を相手に、しきりに何か弁じている。
時々ダーターファブラと言う。なんの事だかわからない。しかし与次郎の相手は、この言葉を聞くたびに笑いだす。
与次郎はますます得意になって、ダーターファブラ我々新時代の青年は……とやっている。
〔中略〕
散会の時刻が来て、若い男がみな暗い夜の中に散った時に、三四郎が与次郎に聞いた。
「ダーターファブラとはなんの事だ」
「ギリシア語だ」
与次郎はそれよりほかに答えなかった。三四郎もそれよりほかに聞かなかった。二人は美しい空をいただいて家に帰った。


このダーターファブラという言葉が、それ。

上に挙げた言葉の最後の部分、「物語は君について語られているのだ」は、
原文では、de te fabula narratur.

この de te fabula の部分が、ダーターファブラ。

与次郎はギリシア語だと言っているが、本当はラテン語である。

古典ラテン語の読み方では、デーテーファーブラ となる。


ラテン語はけっこう意外なところにも登場しているのである。



≪8月3日≫

最近、牛丼の値下げ競争が激化しているらしい。大丈夫なのだろうか。

おいしい牛丼が姿を消すことのないようにと願っている。


牛丼は好きで、時々無性に食べたくなって、近くの牛丼屋に入る。

そんな牛丼にまつわる、ちょっと変わった失敗談をひとつ・・・。


ある日、家に帰る途中、小腹がすいたので、
牛丼弁当を買って帰ろうと思い、通りすがりの牛丼屋に入った。

並盛りの弁当を注文したが、ご飯は少しでいいな、と思い、
具はそのままで、ご飯の量だけ減らしてもらおうと、店員さんに、こう言った。

「ご飯だけ半分にしてください」


ところが、家に帰って、ふたを開けてみたらびっくり!

なんと、容器の中には、少量のご飯だけが入っていたのだ。そう、具のかかってない白いご飯だけ。


なんちゅう寂しい弁当・・・。


これは一体どういうことか、と考えてみたら、あっと思い当った。

その牛丼屋の店員さんは、その時たまたま外国人の方だった。

彼は、私の「ご飯だけ半分にしてください」という言葉を、恐らく次のように受け取ったのだ。


ご飯だけ、

半分にして、

ください。



つまり、具なしのご飯だけを、その量を半分にして、私にください、と解したわけである。

そういえば、その店員さんは、怪訝な顔をして、「え?ご飯だけ半分ですか?」と聞き返したのだった。

私も、「そうです、そうです、ご飯だけ半分です」と要求を繰り返した。

店員さんは、きっと、変な注文をする客だなあ、と思ったのだろうが、ともかく私の要求にそのまま応えてくれたというわけである。



・・・こういう解釈は、想定外だった。


いやぁ、参ったなあ。ははははは。


(それ以来、注文の時に余計なことは言わないことにしている)





吉野家の牛丼並盛、今日の午後3時まで270円だそうです。



≪8月7日≫

今日は自分の研究室の本の整理をした。

 

夏休みになったら、さっそくやろうと思っていたこと。

もう使わなさそうな本はさっさと処分。そうしないと新しい本を置く所がなくなってしまう。
今回は40冊ほどの本を処分した。棚一段分くらい。けっこうすっきりした。


ところで、明日は、南山大学(名古屋キャンパス)の停電の日である。
メインテナンスのため、朝からず〜っと一日中停電になる。

電気が止まると、部屋の電灯もクーラーもコンピューターも使えないのはもちろん、
水も出なくなり、トイレも使えなくなる。明日だけは学校に来ない方がいい。

図書館も閉館だし、

 

自宅で本でも読むとしましょう。



≪8月16日≫

今年の夏はことのほか暑いですね。皆さんお元気にお過ごしでしょうか。

また大腸の内視鏡検査を受けることになりました。2年前にやったのと同じものです。


 

再びグリコの検査食エニマクリンのお世話になることに。

2年ぶりなので、少しは献立が変わっているかと期待したのですが、全く同じでした。(笑)
きっと計算し尽くされた完璧メニューなのでしょう。ま、2年ぶりだから、いいか。

前回は1泊入院となり、授業に影響がでてしまったので、今回は夏休み中にすることにしたのです。

さほど苦しい検査ではないのでご心配なく。
むしろ、胃腸を完全に空っぽにするので、すっきりさわやかリセット気分が味わえます。(ちょっとウソ)


明日はエニマクリンしか食べてはならぬ日で、水曜日に検査。

検査自体は短いのですが、腸を空にしなければならないので、朝から入院。
検査結果によっては、術後観察のため1泊して翌朝まで。


とてもヒマだろうなあ。忘れずに本を持ってゆこう。



≪8月19日≫

昨日は大腸の内視鏡検査のため、一日中ずっと聖霊病院でした。



とっても良い天気。というか、たいへん暑かったのですが、病院内は涼しくて快適です。
病室は7階でした。これは7階の窓から見える景色。

写真のちょうど真ん中に、私がよく食料を買いに行く、バローがあります(赤い看板の建物)。
その奥に立っている塔は、中京テレビ放送局の送信塔です。

南山大学は、これより、もう少し左側にあります。


検査結果は、ありがたいことに、「ほぼ問題なし」でした。
直腸に少し炎症がみられたものの、切除すべきポリープとかは無いとのこと。

よかったよかった。


しかし、検査後すぐに帰宅できるかと思いきや、そうではありません。



脱水症状を防ぐため、検査の際に点滴を受けます。

この点滴は3時間以上かかるのです。検査が終わっても、それが終わるまでは退院できません。

でも、検査の時に腸を空気でふくらませるので、検査後しばらくの間は、お腹の調子がよくありません。

それがほぼ治まる頃に、点滴が終了するのです。さすが、うまくできています。



≪8月25日≫

今日はインスタントラーメンの日なのだそうだ。

日清食品の創業者である安藤百福(あんどう・ももふく)さんが開発した、
世界初のインスタントラーメン、チキンラーメンが発売されたのが、
1958年8月25日であったことを記念して制定されたらしい。

50年以上経った今でも、チキンラーメンは絶大な人気を誇っている。(私も大好き)

チキンラーメンは偉大だ。



敬意を表して、では今日、おいしくいただくことにしましょう。




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