2004年10月の雑記



≪10月5日≫

★最近名古屋はよく雨が降る。まるで梅雨どきのようだ。よくまあこんなに空に水分があるもんだな〜。

私は雨がけっこう好きである。木々や草がしっとりと洗われてきれいだし、静かに雨を眺めていると、なにやらそこはかとなく美しくかつ切ない仮想の物語が思い巡らされて、妙に感傷的な気分にひたれるのである(・・・こういうのを白昼夢といいます)。

私の友人で作家の大島真寿美(おおしま・ますみ)さんも、雨が大好きだと言っていた。この人は南山短期大学の卒業生であり、学生時代にひょんなことで知り合った。彼女は平成4年度の文学界新人賞を受賞。『ぼくらのバス』、『宙の家』、『羽の音』、『空はきんいろ』など多数の著書で知られている。1985年から92年にかけては、劇団「垂直分布」(すいちょく・ぶんぷ)を主宰し、彼女自身の脚本と演出による作品を、ときどき大須(おおす)にある「七つ寺共同スタジオ」などで公演していた。私はその演劇作品のいくつかを拝見させていただいた。

七つ寺共同スタジオというところは、名前からして何かワケあり風だが、見た目にも実にワクワクするほどいかがわしい。しかしここは、若者たちが前衛的な作品を発表し続けている、知る人ぞ知る有名な劇場なのである。(ここをご参照あれ)。大島さんの作品には魅力に満ちた独特の摩訶不思議(まかふしぎ)な世界があり、ユーモアと幻想性にあふれていて、とても面白かった。中でも一番印象に残っているのは、「雨の空気」という題の作品である。(昨日は記憶違いで「雨の重さ」と書いてしまいましたが、作者に確認したところ正しくは「雨の空気」でした。失礼いたしました)。内容は私にはあまりに斬新だったため、いまひとつ理解できなかったが、たしか雨がからむ何らかの事件が突然起きて世界が存亡の危機にひんし、それを解決すべく織姫(おりひめ)さまが仲間と一緒に時空を横切って旅をし、最後はくじらが海の向こうに去ってゆく・・・というようなものだったと思う(うう、ワケがわからん。私の記憶違いかも知れません・・・)。1992年に劇団「垂直分布」は解散してしまったが、あの斬新で刺激的な作品をできればまた見たいと願っている。


★ところで、こないだ中日ドラゴンズが優勝したが、その本拠地とも言える名古屋ドームに、こういうお菓子が売られていることを最近知った。(あいりーんどうもありがとう)。


ナゴヤドーム限定じゃがたらチップ。なんと手羽先(てばさき)味。うまさはホームラン級とのこと。名古屋城の象徴である金の鯱(しゃちほこ)が野球のヘルメットをかぶって喜び踊っている。いや、よく見るとバットまで持っている。ほほう・・・よくわからんが、ともかく珍しいチップスではある。名古屋ドーム来館の記念にどうぞ。名古屋ドームは雨でも平気である。


うみゃあ。



≪10月6日≫

★昨日の雑記で私は作家の大島真寿美さんの演劇作品の傑作、「雨の空気」をご紹介したが、その内容について、私はあまりにも自分の記憶と理解に自信がなかったため、大島さんに連絡してチェックしてもらい、正確な内容を教えてくださるようお願いした。すると次のようなお答えがあった。

爆笑、爆笑、大爆笑。
どんな話なんや?!と大笑いしてしまいました。
正しい記憶とは言い難いけど、面白いからそのままでいいです。


・・・あの。

で、正しい内容は?・・・ま、いいか。

大島さんは今年たくさん著作を発表されたらしい。ご本人の言葉で紹介していただこう。

私は今年はいっぱい本を出しました。
ついでなのでお知らせしておきます。
『かなしみの場所』(角川書店)
『ちなつのハワイ』(教育画劇)
『空はきんいろ 〜フレンズ〜』(偕成社)
『香港の甘い豆腐』(理論社)
以上です。最後のやつは、今日、本屋さんの店頭に並びます。


驚くべきタイミングのよさ。彼女の最新作の発売は図らずも今日である。


『香港の甘い豆腐』。友達ガイのないことに私はまだ購入していないが、これまでの彼女の作品から察するに、これはほぼ間違いなく、香港のグルメ・レポートでもなければ、豆腐料理の本でもなく、小説である。きっと素敵な作品にちがいない。ぜひ大島さんの世界をみなさんもお楽しみください。



≪10月10日≫

★またまた台風にやられた。昨日土曜日は南山大学の恒例行事野外劇「受難」の公演予定だったが、残念ながら1週間後の16日に延期になった。

イエス・キリストの十字架による死を聖書をもとに描くこの野外劇は、内容の重たさにも関わらず非常に人気があり、毎年多くの観衆を集めている。これはロゴスセンター内に本拠地を持つ「受難劇クラブ」(PPC)が1年間かけて準備し練習して公演しているもの。大道具、小道具、衣装、メイク、脚本、演出のすべてが学生の手作りである。脚本は毎年新たに書き直され、新しい工夫がほどこされるため、毎年見ても飽きさせない。

せっかく気合を込めて準備を整えていただろうに、台風22号に腰を折られた感じで気の毒だ。16日は晴れるといいなあ。気を取り直して頑張って欲しい。みなさんもぜひ1度この「受難劇」をご覧下さい。

  受難劇公演
  10月16日(土)午後6時から(約3時間) 
  南山大学名古屋キャンパス内パッヘ・スクエア(芝生広場)にて



★また昨日は叙階式の日でもあった。叙階式(じょかいしき)とは、それに相応しいと認められた人をカトリック司祭の身分と職務に就かせる式のことである。教会が尊重している7つの秘蹟(ひせき)のひとつであり、必ず司教様が執り行う。ちょうど結婚式と同様に、叙階式は日取りを変更することが非常に困難なため、台風が直撃するくらいでは中止にならない。今年は神言会から3人の若い新司祭が誕生した。マリス神父(インドネシア人)、ピーター神父(インドネシア人)、三枝(みえだ)神父(日本人)の3人である。残念ながら式の写真を私は撮れなかったが、神言神学院のホームページに3人の写真が載っているので、どうぞご覧あれ(ここ)。3人とも長く苦労の多い道のりを経てこの恵みを受けた。これからもきっと楽ではないだろうが、どうか元気にがんばって司祭の道を歩んでいってほしい。

叙階式は杁中(いりなか)の南山教会で、午後2時からおこなわれたが、それはちょうど台風22号が東海地方を直撃した時間帯であった。この台風は今年やってきたどの台風よりも強烈で危険であるとテレビやラジオで盛んに警告され、暴風雨・雷・洪水警報まで出ていたので、関係者一同いったいどうなることかと心配していたのだが、台風にもかかわらず、たくさんの参列者で南山教会は満杯であった。台風の危険などものともしない信徒のあつき信仰というか心意気というものを感じた。幸い南山教会のあたりではさほどの猛威はなく、式は滞りなく進んだ。驚いたことに叙階式が終了する頃には早くも雨があがり、気持ちのよい天気になったのであった。



≪10月13日≫

★この秋学期、私は急な事情から、岐阜女子大学というところに非常勤講師として赴くことになった。南山学園以外の学校で仕事をするのは初めてのことである。昨日がその最初の授業であった。

これは図書館。校舎は他にまだたくさんある。 門を出て少し離れたところから撮影

岐阜女子大学は東海北陸自動車道の関(せき)インターから車で約15分くらいのところ、
太郎丸(たろうまる)というかわいらしい名前の地にある。



「たろうまる」の「ろ」と「る」をR(舌を上あごにつけず丸めて)あるいはL(舌をしっかり上あごにひっつけて)の音で読むと、さらにかわいくなる。(ちょっとやってみてください。・・・ね?かわいいでしょ。)

上の写真でおわかりのように、たいへんのどかで静かな良いところであった。キャンパス内も楚楚(そそ)としていてとっても良い感じである。私が担当させていただくことになったクラスは、英語英米文学専攻の大学院生の皆さんのクラス。とても友好的で熱心な方々ばかりで楽しく授業ができた。これから半年間、どうぞよろしくお願いします〜。

さて、しかし問題がひとつだけある。それはかなり距離が遠いということである。南山大学(名古屋キャンパス)からだと、高速道路を飛ばして約1時間半。もし込んでたら2時間以上かかりそうだ。道に迷うという危険も、私の場合は大いにある。

実は昨日、行きは地図を見ながらなんとか迷わずに行けたのだが、帰り道で迷ってしまった。一宮(いちのみや)インターでうっかり高速道路を出てしまったのだ。(名古屋はこっちって矢印が出てたので、つい・・・ぅぅぅ)。一般道路におりたらちょうど帰宅ラッシュの時間で、すごい車の数。地図を持ってなかったので友人に電話して道案内を頼んだのだが、車が多すぎて車線変更がままならず、入りたい道には入らしてもらえず、行きたくもない方向に無理やり曲がらされ、気が付いたら家とは逆方向に進んでたりして、結局ロゴスセンターに帰り着くのに3時間もかかってしまった。(私の運転がどんくさいからではありませんぞ決して)。

いやはや・・・すこぶる疲れました。次回は絶対、一宮でおりないぞ〜!



≪10月20日≫

★南山大学の教職員の親睦を深めるために毎年企画されている「南山大学ウイング旅行」に、今年は私も参加させていただいた。今年は信州の上諏訪(かみ・すわ)と妻籠(つまご)を散策。企画・実行委員の皆さんの献身的なご奉仕のおかげで、たいへん充実した楽しい親睦旅行を楽しませていただきました。

企画・実行委員のみなさま、ありがとうございました。そして、どうもお疲れさまでした。

上諏訪には魅力的な場所がたくさんある。中でも私が感銘を受けたのは、諏訪湖のほとりに立つ、片倉館(かたくらかん)という天然温泉のお風呂屋さんであった。


知らなければ、これをお風呂屋だと思う人は恐らくいないであろう。まるで美術館のような瀟洒(しょうしゃ)な趣(おもむき)のある建物である。昭和4年(1929年)に、片倉財閥の2代目当主、片倉兼太郎氏が地域住民の福利厚生のために建ててくれたものらしい。外見のみならず内部も非常に風流である。

浴場には千人風呂と呼ばれる名物の浴槽がある。長さ7.5メートル、幅4メートル、そして深さなんと1.1メートルという、オドロキの浴槽だ。オドロキなのは、その深さである。最初に入る時、思いがけない深さのために、私は「あっ」という小さな叫びと共にドボンと中に落ちてしまった。底には砂利が敷きつめてある。1.1メートルだと私の胸のあたりまでつかる。ここまで深いと、ちょっとしたプールのような感じがする。実際小さな子供たちは、泳がなければ向こう岸に行けない。

熱めのお湯で、とても気持ちがよかった。天然温泉なのもうれしい。諏訪湖のあたりにお出かけの際には、ぜひお試しあれ。営業時間は朝10時から夜9時まで。定休日は火曜日。入浴料は、大人400円・子供300円。自前のタオルが無ければ、受付で120円で買うことができる。片倉館の名前入りなので、記念になってよいかも知れない。




★また台風が来ている。今度のは23号。これまでのものより更に強いやつらしい。愛知県には朝から大雨・洪水・暴風警報が発令され、おかげで今日南山大学はすべての授業が休講となった。クラブ活動も全面的に中止だ。まったく困ったもんだなあ。(実はちょっとうれしいけど・・・あまり大きな声じゃいえないが)。

研究室の窓から見る限りでは、今のところはただ雨が降っているだけで、まだ風はあまりないようである。でもこれから激しくなってゆくんだろうな。キャンパスに人影はほとんどない。みんな無事にお家に帰ったかな。私の場合、学内のロゴス・センターに住んでいるので、家も職場もほとんど同じである。もうしばらく仕事してから帰ろう。



≪10月21日≫


★昨日さんざん吹き荒れた台風23号は北東に去り、今朝は秋晴れの良い天気になった。まだ風が強いけど、空気が澄んでいてとても気持ちが良い。上の写真は第一研究棟6階のキリスト教学科合同研究室の窓から北東の方向を撮影したもの。

さらば台風23号よ。

南山大学名古屋キャンパスは小高い丘の上に立っているため、名古屋の町を東西南北どの方向にも遠くまで見渡すことができる。この写真の方向には、風光明媚なる霊山として知られる標高3,067メートル御嶽山(おんたけ・さん)があり、こういう空気が澄んでいる日には南山からも見える。今日もうっすらと見えている(気がする)。

今日も一日、元気にがんばろ〜。



≪10月27日≫

★ロゴスセンターの聖堂で今日、三枝孝宏(みえだ・たかひろ)神父さんの初ミサがおこなわれた。

三枝神父さんは、つい先日の10月9日、台風22号が吹きすさぶ中、杁中(いりなか)の南山教会にて叙階された、3人の若い司祭のひとりである。

彼はロゴス・センターを拠点に活動しているクラブの学生たちの先輩でもある。年齢が近いこともあって、学生たちとの親交も深い。そこで、ぜひロゴス・センターで初ミサをして欲しいと、後輩の学生たちから希望が出された。

初ミサとは、新司祭がおこなうミサのことである。しかしただのミサではない。それぞれの新司祭が、叙階後の1年間に限り、各教会でただ1度だけおこなうことができる期間限定の特別なミサなのである。このミサでは新司祭の祝福という、この期間だけのスペシャルな祝福もしてもらえる。だから、初ミサには普通のミサよりもずっと多くのゴリヤクがあるとされている(むろんこれは世界中のどの教会でおこなっても有効である)。

三枝神父さんは後輩からの希望を喜んで受けてくれた。今日それが実現したのである。

ロゴスの聖堂でおこなわれた初ミサには、彼を慕う多くの学生たちが集まった。学生たちのほとんどはキリスト教徒ではない。しかしそんなことはこの場合、どうでもよいのだ。みんな心から、三枝先輩が長い勉強と祈りと修行を経て、めでたく神父に叙階されたことを喜び、そしてこれからアフリカのガーナへ宣教師として旅立とうとしている彼を応援するために、ここに集まった。とても温かな雰囲気の、よいごミサだった。


ごミサの後は、ロゴスのホールで、学生たちの手作りのカレーによる食事会が開かれた。私は残念ながら大学の会議のために、この食事会には参加できなかったが、きっと楽しいひと時を過ごしてくれたはずである。

先輩がいて後輩がいる。先輩は後輩に励まされながら旅立ち、後輩は先輩の思いを受け継ぎながら成長してゆく。南山大学の精神はこうして継承され、進化し、広がってゆくのだろう。ロゴスセンターが、ここで学生時代を過ごした人たちの心のふるさとになってくれればいいなと思う。



≪10月29日≫

★南山大学では今年も元気に大学祭が開催される。公式ホームページは→ここです

日程は、10月31日(日)〜11月3日(水)。あさってからである。学内にはしだいに学祭の雰囲気が漂ってきている。


メインストリートには「ハクシュカッ祭」と書かれた幕がひらめいている。
キャンパスのいたるところには、大学祭のいろいろなイベントを知らせるポスターが貼られている。たとえば・・・


チアリーダーズのラッスルズは今回もきっと華々しい演技を披露してくれることだろう。このチームにはキリスト教学科生をはじめ、私のよく知る学生が何人かいる。厳しい訓練の成果をみていただきたい。


南山スコラカントールム混声合唱団(南スコ)も、合唱曲をいくつか演奏する予定である。上の右の写真が南スコのポスター。かわいらしいいポスターができた。清らかな歌声をどうかお聞きください。

その他、写真部による写真展や、野球チーム等の模擬店など、体育会系および文科系クラブによるさまざまなイベントが準備されている。みなさんどうぞ御気楽に遊びにお出かけください。





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