南山大学

 

English

言語比較に基づく統語理論の国際共同研究
「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(研究拠点を形成する研究)」

目的

日本語を中心とした比較統語論研究を幅広く展開することにより、統語理論の発展に独創的な貢献をすることをめざしています。プロジェクト研究者(本学教員、大学院生、学外研究者)が、統語論と言語獲得論の領域において国際共同研究を行い、その成果を世界に発信します。国際共同研究では、これまでの海外提携校 (ケンブリッジ大学、シエナ大学、コネティカット大学、台湾・国立清華大学、ハイデラバード・EFL大学)との共同研究を基盤として、日本語とケルト系言語、ロマンス系言語、ゲルマン系言語、スラヴ系言語、中国語、ドラヴィダ系言語を詳細に比較し、人間言語の普遍的性質に対する理解を深めていきます。

研究内容

本研究プロジェクトは、3つのテーマを中心に遂行されます。「A. 名詞句構造と文法格」では、日本語、中国語、イタリア語の比較に基づいて、名詞句の構造を決定する文法原理とパラメターの解明をめざします。また、マラヤラム語と日本語のデータを比較検討して、与格主語と名詞句構造の関連を探ります。このテーマの研究は、統語理論の根幹をなす句構造理論の発展にも寄与することになるものと考えています。「B. 空辞、一致および自由語順」では、特にアジアの言語において顕著に観察される項省略現象に焦点をあてて、そのメカニズムを解明しつつ、一致現象や自由語順現象との関連を明らかにします。また、自由語順現象について、日本語とドラヴィダ系言語、ゲルマン系言語、スラヴ系言語の比較研究も行い、それぞれの言語が自由語順を許容するメカニズムを詳細に検討します。「C. 焦点、主題および計量詞の作用域」では、イタリア語文左方周縁部の分析を基礎として、日本語、スペイン語、ウェールズ語のデータを考察しながら、談話解釈において重要な役割を果たす文左方周縁部の構造に関わるパラメターを追求します。また、関連諸語の比較を通して、疑問詞の認可や計量詞の作用域にみられる言語間の相違に説明を与えることをめざします。

研究活動

プロジェクト期間を通して、恒常的に共同研究を遂行します。加えて、集中的な討議と研究の公開を目的とした国際ワークショップを年に数回開催して、議論を深めていきます。研究活動の詳細は、本ウェブページや本研究センターの機関誌 Nanzan Linguistics においても公開します。個々の研究者は国際学会における研究発表などを通して研究成果を公表しますが、プロジェクト全体の研究成果をまとまった形で示すために、随時研究書を刊行する予定です。

言語科学国際共同研究カリキュラム化―コンソーシアム協定に基づく若手研究者の育成―

大学院言語科学専攻が、2006年度に、文部科学省「魅力ある大学院教育イニシティブ」の事業として開始した教育プログラムです。言語学領域では、海外の協定校(台湾・国立清華大学、ハイデラバード・EFL大学、コネティカット大学、シエナ大学、ケンブリッジ大学)と、研究科目を共同開講するなど、様々な形で協力体制を組んでいます。2006年以来、本センターは、このプログラムを側面から支援し、平行して、協定校との共同研究を進めてきました。上記研究プロジェクトは、この共同研究を基礎として、より広範な比較統語論研究を展開しようとするものです。

2006年〜2008年の活動報告書は下記の各リンクからダウンロードできます。
(Acrobat Reader 6 以上が必要です)

南山大学言語学研究センター

月・水・金 10:00〜16:00
〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18
南山大学 名古屋キャンパスL棟3階
Phone:052-832-3110(内線3547)
Fax:052-832-5688
E-mail:ling-office@ic.nanzan-u.ac.jp