教員essay

【ゴールドコースト通信 第一部】


6.熱気球に乗って
 2月のはじめ、観光客と一緒に熱気球に乗ってゴールドコーストを上空から見る機会があった。
  海岸のホテルに泊まり、朝の4時半にホテルを出て出発地点のゴルフ場に向かった。ところが、風力がほとんどゼロであったため、そこで出発することはできず、海岸から3キロ離れた郊外のショッピングセンター裏の空き地から離陸した。その時は6時になっていた。
  風が弱いため、熱気球は郊外のロビーナ周辺の小さな範囲をまわった。それでかえって日本人がいだいているイメージとは異なるゴールドコーストの姿を目にすることができた。
  離陸してまもなく、牧場が見えた。牛の群れが驚いて走っている。その群れを鷺が追いかけている。白馬が放牧されているところもある。やがて曲がりくねった水路が視界に飛び込んできた。水路に面して大規模な邸宅が建っている。プールもボートもある豪邸である。これはここの人たちの理想としている住居である。
  西には低いなだらかな山並みが見えた。ゴールドコーストの内陸、Hinterlandと呼ばれる場所である。この山には国立公園になっている箇所もある。山は遠くほど青くかすんで見えた。
  熱気球は少し東へ流された。高度300メートルくらいになったとき、海岸のホテルの林立が見えてきた。しかし、ホテルが並んでいるのは海岸のごく近くだけであり、その姿は海上の蜃気楼のようであった。見下ろす陸地の八割から九割程度が緑に覆われていた。熱気球の位置が最も高くなったときには運河に沿って並ぶ豪邸も小さくなり、まばらな森と草原の中に運河や汽水湖が青く輝いていた。
  熱気球の旅は一時間ほどで終わった。着地したのは離陸した空き地とは別であった。乗客6人で気球をたたむ仕事を手伝った。まわりは草原で、夏草のにおいが感じられた。





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