≪8月1日≫
今年の春学期のラテン語原典解読課題の一つは、ホラーティウスだった。
ホラーティウス(前65〜前8年)は、 ラテン語文学黄金時代の代表的な詩人の一人。
カエサルがブルートゥスに暗殺されたり、アウグストゥスがローマ帝政を始めたりした頃に活躍した人である。
風刺の効いた詩で知られ、人間の愚かしさや浅ましさを、ユーモアを交えて嘲笑したり皮肉ったりしている。
今回読んだ箇所には、次のような言葉が書かれていた。(Saturae, I, 69-70)
ところで、なぜ君は笑っているんだい?
名前を取り替えれば、その物語は君について語られているのだぞ。
人の愚行や失敗を語った詩を読んで、君は大笑いしているが、
君だって同じようなことをしてしまうではないか。他人事ではないよ、ということである。
実はこの言葉を、夏目漱石が『三四郎』の中で使っている。
『三四郎』第六章にこう書かれている。
二人が話していると、向こうの方で、急に高い声がしだした。見ると与次郎が隣席の二、三人を相手に、しきりに何か弁じている。
時々ダーターファブラと言う。なんの事だかわからない。しかし与次郎の相手は、この言葉を聞くたびに笑いだす。
与次郎はますます得意になって、ダーターファブラ我々新時代の青年は……とやっている。
〔中略〕
散会の時刻が来て、若い男がみな暗い夜の中に散った時に、三四郎が与次郎に聞いた。
「ダーターファブラとはなんの事だ」
「ギリシア語だ」
与次郎はそれよりほかに答えなかった。三四郎もそれよりほかに聞かなかった。二人は美しい空をいただいて家に帰った。
このダーターファブラという言葉が、それ。
上に挙げた言葉の最後の部分、「物語は君について語られているのだ」は、
原文では、de te fabula narratur.
この de te fabula の部分が、ダーターファブラ。
与次郎はギリシア語だと言っているが、本当はラテン語である。
古典ラテン語の読み方では、デーテーファーブラ となる。
ラテン語はけっこう意外なところにも登場しているのである。
≪8月3日≫
最近、牛丼の値下げ競争が激化しているらしい。大丈夫なのだろうか。
おいしい牛丼が姿を消すことのないようにと願っている。
牛丼は好きで、時々無性に食べたくなって、近くの牛丼屋に入る。
そんな牛丼にまつわる、ちょっと変わった失敗談をひとつ・・・。
ある日、家に帰る途中、小腹がすいたので、
牛丼弁当を買って帰ろうと思い、通りすがりの牛丼屋に入った。
並盛りの弁当を注文したが、ご飯は少しでいいな、と思い、
具はそのままで、ご飯の量だけ減らしてもらおうと、店員さんに、こう言った。
「ご飯だけ半分にしてください」
ところが、家に帰って、ふたを開けてみたらびっくり!
なんと、容器の中には、少量のご飯だけが入っていたのだ。そう、具のかかってない白いご飯だけ。
なんちゅう寂しい弁当・・・。
これは一体どういうことか、と考えてみたら、あっと思い当った。
その牛丼屋の店員さんは、その時たまたま外国人の方だった。
彼は、私の「ご飯だけ半分にしてください」という言葉を、恐らく次のように受け取ったのだ。
ご飯だけ、
半分にして、
ください。
つまり、具なしのご飯だけを、その量を半分にして、私にください、と解したわけである。
そういえば、その店員さんは、怪訝な顔をして、「え?ご飯だけ半分ですか?」と聞き返したのだった。
私も、「そうです、そうです、ご飯だけ半分です」と要求を繰り返した。
店員さんは、きっと、変な注文をする客だなあ、と思ったのだろうが、ともかく私の要求にそのまま応えてくれたというわけである。
・・・こういう解釈は、想定外だった。
いやぁ、参ったなあ。ははははは。
(それ以来、注文の時に余計なことは言わないことにしている)
吉野家の牛丼並盛、今日の午後3時まで270円だそうです。
≪8月7日≫
今日は自分の研究室の本の整理をした。
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夏休みになったら、さっそくやろうと思っていたこと。
もう使わなさそうな本はさっさと処分。そうしないと新しい本を置く所がなくなってしまう。
今回は40冊ほどの本を処分した。棚一段分くらい。けっこうすっきりした。
ところで、明日は、南山大学(名古屋キャンパス)の停電の日である。
メインテナンスのため、朝からず〜っと一日中停電になる。
電気が止まると、部屋の電灯もクーラーもコンピューターも使えないのはもちろん、
水も出なくなり、トイレも使えなくなる。明日だけは学校に来ない方がいい。
図書館も閉館だし、
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自宅で本でも読むとしましょう。
≪8月16日≫
今年の夏はことのほか暑いですね。皆さんお元気にお過ごしでしょうか。
また大腸の内視鏡検査を受けることになりました。2年前にやったのと同じものです。
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再びグリコの検査食エニマクリンのお世話になることに。
2年ぶりなので、少しは献立が変わっているかと期待したのですが、全く同じでした。(笑)
きっと計算し尽くされた完璧メニューなのでしょう。ま、2年ぶりだから、いいか。
前回は1泊入院となり、授業に影響がでてしまったので、今回は夏休み中にすることにしたのです。
さほど苦しい検査ではないのでご心配なく。
むしろ、胃腸を完全に空っぽにするので、すっきりさわやかリセット気分が味わえます。(ちょっとウソ)
明日はエニマクリンしか食べてはならぬ日で、水曜日に検査。
検査自体は短いのですが、腸を空にしなければならないので、朝から入院。
検査結果によっては、術後観察のため1泊して翌朝まで。
とてもヒマだろうなあ。忘れずに本を持ってゆこう。
≪8月19日≫
昨日は大腸の内視鏡検査のため、一日中ずっと聖霊病院でした。
とっても良い天気。というか、たいへん暑かったのですが、病院内は涼しくて快適です。
病室は7階でした。これは7階の窓から見える景色。
写真のちょうど真ん中に、私がよく食料を買いに行く、バローがあります(赤い看板の建物)。
その奥に立っている塔は、中京テレビ放送局の送信塔です。
南山大学は、これより、もう少し左側にあります。
検査結果は、ありがたいことに、「ほぼ問題なし」でした。
直腸に少し炎症がみられたものの、切除すべきポリープとかは無いとのこと。
よかったよかった。
しかし、検査後すぐに帰宅できるかと思いきや、そうではありません。
脱水症状を防ぐため、検査の際に点滴を受けます。
この点滴は3時間以上かかるのです。検査が終わっても、それが終わるまでは退院できません。
でも、検査の時に腸を空気でふくらませるので、検査後しばらくの間は、お腹の調子がよくありません。
それがほぼ治まる頃に、点滴が終了するのです。さすが、うまくできています。
≪8月25日≫
今日はインスタントラーメンの日なのだそうだ。
日清食品の創業者である安藤百福(あんどう・ももふく)さんが開発した、
世界初のインスタントラーメン、チキンラーメンが発売されたのが、
1958年8月25日であったことを記念して制定されたらしい。
50年以上経った今でも、チキンラーメンは絶大な人気を誇っている。(私も大好き)
チキンラーメンは偉大だ。
敬意を表して、では今日、おいしくいただくことにしましょう。
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