能の特徴

●能の基本構成

能のお話の展開は大概同じようなものです。その展開は大きく分けて2つ。

展開@ー現在進行形で話が進む

 神様や仏様のおかげで助かりました!というありがたい話や、敵討ちに行く!という話。 舞いとしては全体に派手な動きが多い。

展開Aー幽霊の過去を振り返った語りで話が進む
☆こちらが主流☆

 前半で謎の人物が現れて、僧にある場所に行け、と指示したり、僧 が来た場所に謎の人物はその場所のゆかりを話したりします。
 後半で、その 謎の人物の正体が明かされます。謎の人物は大概、幽霊や妖怪で、なぜ自分が 幽霊(妖怪)になったのか、そのいきさつを僧に話して成仏していく、という話。 僧に自分の生前の行いを話すところは、それを再現をしながら話します。その再現が能の舞のメインとなり、見せ場となります。

人に自分の行いを話すことで、自分が犯した罪が許される、という考え方 が仏教にはありますその仏教の考え方に則して、幽霊が自分の生前の行いを話して成仏するパターンです。

☆元々古代的芸術というものは死者の霊を慰めたり、神への奉納をするために行なわれたものです。能も同様で、死者の霊を慰めるのです。慰めをし てやらないと、死者が悪霊と化して、人間社会に災いをもたらすと考えられていました。ちなみに幽霊になる人は無惨な死に方をした人や、志半ばで生涯を閉じた人物ですので、栄華から一気に滅亡に帰した平家一族などが能ではよく登場します。