能に関係する言葉・諺3

 

11.「阿漕」

  能「阿漕」より。舞台は伊勢国阿濃郡(今の三重県四日市市)の阿漕が浦。阿漕が浦は伊勢神宮に備える魚を捕るための漁場で禁漁区だった。しかしある時、たびたび密漁をしていた漁師が捕まり、見せしめとして阿漕が浦に沈められたという伝説から、悪事を重ねること、またしつこくて図々しいことを阿漕と言うようになった。もとは阿漕が浦に伝わる伝説。
 (参考 阿漕)

12.「一炊の夢」

  能「邯鄲」より。出世するために都へ向かう男は途中邯鄲の地で宿を取る。そこで不思議ないわれのある枕に出会い、まどろむと、男は夢の中で50年もの素晴らしい栄華を極める。しかし宿の人に「ご飯が炊けましたよ」と起こされ、その夢はご飯を炊く間の短い夢だったのだと知る。そこから、人の世や人生における栄華や富貴が儚いことの例えとして使われるようになった。
  新作能「安倍晴明」もよく似た内容で、この世の栄華の空しさを説いている。
(参考 邯鄲)

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