能に関係する言葉・諺1
1.「板につく」
能役者が舞台の上を吸い付くような足取りで歩く(運歩する)事から転じて、態度や物腰がその人の職業などに相応しくなる、それらしくなるという意味。
※「運歩」とはすり足の一種です。2.「檜舞台を踏む」
能役者が憧れの能舞台(檜で出来ている)を踏めたらどんなに嬉しいだろうと思う気持ちから出た言葉。転じて、自分の腕前を披露する晴れの機会を得るという意味。(参考 檜)
3.「白羽の矢を立てる」
能「賀茂」より。少女が神に捧げる水を汲んでいると、桶に加茂川の上流から流れてきた白羽の矢が当たり止まった。その矢を持ち帰ると、彼女はたちまち妊娠して男児を出産した。これより、神意で大役を押しつけられる様のことを言う。もとは「山城国風土記」。(参考 賀茂)
4.「玄翁」
能「殺生石」より。中世に玄翁和尚が殺生石の祟りを納めようと巨大な鎚で殺生石を打ち砕いた事にあやかり、同じ型の鎚を玄翁と呼ぶようになった。(参考 殺生石)
5.「初心忘るべからず」
「花鏡」より。学び始めた頃の謙虚な気持ちを忘れるな、ということ。最初の志を忘れてはならないという意味でも使う。