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「豊かで潤いのある学びを育むために」ラボラトリー方式の体験学習を通した豊かな人間関係構築を目指して

プログラムの特色

 

1 理論と実践の統合

ラボラトリー方式の「体験学習」の循環過程(図1参照)の理論的背景を学ぶとともにその学習方法を活用した授業の設計ならび改善を研究する。
本事業は、南山大学大学院人間文化研究科教育ファシリテーション専攻と南山大学人間関係研究センターのコラボレーション実践研究プロジェクトである。

(図1)体験学習の循環過程

問題解決のステップ 学び方を学ぶ 生きる力を育てる 内省的実践家

(1)本プロジェクトの基礎理論

「ラボラトリー方式の体験学習」は、1947年にグループダイナミックス研究の創始者でもあるK.レヴィンと仲間の研究者が開発したトレーニングである。彼らは、一人ひとりの存在を大切にし、学びあう関係づくりと態度形成に取り組むことによって、いかに民主的な風土を創り出すことができるか、という目標を達成しようとしたのである。自分のあり方や問題に気づき、その原因を分析し、その改善のために自分が関与できる行動目標を仮説化し、それらを実行することからの体験的学びこそ、まさに今日の社会に求められる学習と考えたのである。
このような体験から学ぶ学習方法は、児童・生徒にとっては、問題を発見しそれに取り組み解決していくといった、自立的・能動的な学びの態度形成を滋養し「生きる力」を育成することをめざすものである。一方、教員にとっては現場の教育活動といった体験から内省し、自分の教育的関わりをチェックし課題を考え改善していくことができる、内省的実践家になることをめざしたものである。

(2)ファシリテーターとしての能力向上のために

体験学習では、元来Tグループ(Tとはトレーニングの略)のように生の人間関係の相互作用過程(プロセス)に気づきながら学びを深める研修が尊重されている。さらに、人間関係の諸問題に気づくための実習を創り出し、そこで体験的に学ぶことは、構造化された体験学習とよばれるが、そうした人間関係構築のためのプログラム開発は重要な指導テーマである。
  これらの体験学習の運用能力を形成するためのファシリテーター・トレーニングは、教育ファシリテーション専攻、ならびに人間関係研究センターが顕著な成果を収めている。さらに、本プロジェクトでは、グループワークのプロセス研究やファシリテーターの介入研究のために、グループ内の行動観察と記録、そして分析ならびに、体験学習のさまざまな場面における応用事例を検討する。

(3)本プロジェクトに先行する取組

本プロジェクトが生まれた背景として、

2000年度より2年間、人間関係研究センターにおいて「学校心理士と臨床心理士と共に学ぶ 生き生き学級・学校づくり」といった現職教員を対象にした公開講座を実施したことがある。

その後、研究センター員によって教員のための体験学習実践研究会を開催し、現職教員の学級や学校における人間関係づくりプログラムの開発と実践を行ってきていることがある。

その結実として、公開講座および体験学習実践研究会に参加した教員が中心になり、小牧市立応時中学校では、2003年度、2004年度と2年間をかけ、全校あげての人間関係構築プログラムの実施にまで至ったことは特筆すべき点である。


2 専ら夜間の授業形態

本プロジェクトは、現職の教員の再教育をめざしており、教育現場との連携・統合をめざした研究実践である。教育ファシリテーション専攻の授業は、平日は午後6時30分〜午後9時40分、土曜日は午前9時〜午後4時10分に開講され、職場をもつ人々に対して高度職業人としての再教育を行っている。

3 異業種交流

現職教員の教育力を高めるためには、地球的視野に立つと共に、優れた社会人としての資質能力の育成が重要である。国際理解教育や環境教育に関わる人材や企業内教育の実践家たちとの異業種交流に積極的な意味を見いだしている。
教育ファシリテーション専攻、ならびに人間関係研究センターで学ぶ社会人は、人間関係の改善に向けてのファシリテーターとして教育観やスキルの向上を求めているものの、その職種はさまざまである。教員はもとより中小企業の経営者から一般のサラリーマン、医療関係者、カウンセラー、宗教関係者、国際教育、野外教育指導者、主婦などかなり幅広い。その人々との交流は、学校という狭い職場環境を離れて、多角的な視点で教育活動を捉え直す良い契機となっている。

4 現場(フィールド)重視の教育実践

(1)教育プログラムの設計と実践

教育ファシリテーション専攻では、「教育ファシリテーション実践研究」において、「体験学習設計研究」の受講体験を元に、学習者の関心領域に分かれ、実際に体験学習を用いたプログラムを設計し、学内外の対象者をターゲットに教育プログラムの実践と評価を行っている。
2004年度は、

南山大学学部生を対象に『就職支援ワークショップ:キャリアにつなげるはじめての自己分析』(2005年1月12日開催)

名古屋市民対象に『食べるってどんなこと?親子ワークショップ:親子でつくる "まいう"の法則』(2005年2月26日開催)

某製薬会社と院生自身が交渉し、『プロジェクトチームを活性化させるための管理者研修』(2005年1月22日、2月5日、19日、26日の計4回開催)を実践し、評価することを通して、ファシリテーターとしての資質向上を目指した。


(2)進路指導

「キャリア・ガイダンス研究」においては、これまでの進路指導という視点からではなく、生徒一人一人が人間として成長する目標を見いだし、そのために今必要なことは何かを自らが考え、そのことに取り組むことができるためのキャリア・ガイダンス・プログラムの開発を目指している。そのために、具体的に理論的・学問的背景を学ぶだけではなく、受講者が自らキャリア・ガイダンス・プログラムを設計し、学部生に対して実施し、そのプログラム実行の評価を行うといった計画をもっている。このことは、今日の青少年の大きな問題となっている職業意識づくりにも貢献することになる。

(3)フィールド研究

教育ファシリテーション専攻における「研究指導」で院生が取り組んでいるテーマとしては、たとえば「参加型国際協力に携わる専門家のファシリテーターとしての役割についての考察」、「参加型国際理解教育の学校導入における課題」、「女性のキャリア開発支援におけるグループカウンセリングの効果と課題」、「学級集団におけるグループダイナミックス」、「体験学習が企業のマネージャーの対人関係改善に与える影響」、「治療方針に沿った行動変容をもたらすための看護師のファシリテーションガイドライン作成とその評価」などがある。このように国際協力、会社組織内や学校教育、医療現場など多様な領域での問題解決をめざしている。

(4)学級運営

学部の授業、具体的には「人間関係プロセス論」、「グループアプローチ」の科目にTAとして現職教員の院生が参加し、科目担当者でもある指導教員のスーパービジョンを受けながら、現職教員の資質能力を高めることをめざしている。上記の科目はいずれもグループワークを伴う授業であり、グループダイナミックスに関するプロセスへの感受性と理解力を高めることになり、ひいては学級経営において必須の学級運営能力の育成にもつながる。

5 教育ファシリテーション専攻と人間関係研究センターとの連携

教育ファシリテーション専攻の院生が、人間関係研究センターにおいて開催される研修会に参加することには、以下のような意義がある。

自らの人間関係に関して直接体験からの学びを深めることになる。

研修会やワークショップの観察者として参加することによって、さまざまな実践家のファシリテータースキルをモデルとして学ぶことができると共に、ファシリテーターのありようを批判的に見ることができる観察力も高めることが期待される。

研究員スタッフと共に体験学習による教育プログラムの研究・設計し実践することは、さらなる高度な教育ファシリテーターとしてのスキルアップにつながる。


6 院生と共に研究者自らが研修に参加し実践力を養う

大学院ならびに研究センターという研究機関における研究者は、自らが教える立場に立つことがあっても、自らが学ぶ経験というのが乏しいのが現状である。そこで、本プロジェクトでは、ラボラトリー・メソッドによる体験学習の世界的機関である米国NTL(National Training Laboratories)のワークショップに教員が参加することを通して、ファシリテーターの新しい知識と力量をアップすることも計画している。院生の参加も奨励し、米国において大学研究者と共に学ぶ体験から、日本における学校教育現場を改善するアクション・リサーチがさらに深まることをねらっている。








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