院生リレーエッセイ院生生活を送りながら、院生がいろいろ感じたり考えたことを隔週リレーエッセイでお届けします。 [ リレーエッセイ No.76 ] 「卒業雑感」
【 M2006HE009 M.K.】 2012年7月10日 この間、新入生を歓迎するウェルカムパーティに参加するため北門をくぐろうとした時、「あ、自分はもう院生ではないんだ」と少しさびしさを感じた。大学院を卒業して何か変わっただろうか。人が主体的に学んでいく、学びを支えるかかわりについて考え、ともに学んでいける存在というテーマは変わらないが、果たしてどれくらいファシリテーション力がついただろう…。 大学院生活では、私にとって大切な3つの出会いがあった。 一つ目は院生仲間。みんな超多忙人間。現場で日々取り組みながら、もっと人がいきいきと活躍できる、そんな場を作るために働きかけたいという熱ーい思いをもった人ばかり。だからこそ、フィールドは違っても、さまざまな刺激をもらったり、励まし合ったり、固い絆が生まれた。節目に行われる飲み会や合宿も、院生仲間だけでなく先生も参加され、絆を大事にする教育ファシリテーションの名物行事。 二つ目は先生方。先生の存在そのものがファシリテーション。お忙しい中、本当に親身に相談にのってくださる。対等な関係で、自らも学ぶ姿勢を常にもっている。指導の中の対話や日ごろのかかわりの中でファシリテーションとは何かを体現されている、魅力的な存在。 そして、研究テーマと向き合う時間。テーマを突き詰めようとしても拡散するばかり。本当に悪戦苦闘し、取り組めば取り組むほど、「わかっていないこと」が「わかってくる」。奥深さが明らかになり、謎はますます深まる…。知らない人にもわかるように定義すること、その時その場で異なる体験をどう研究として扱っていくのか、本当に難題だった。論文を提出したものの、達成感よりも、新たな宿題が出たという気持ちの方が大きい。 大学院卒業で何かを成し遂げたとはとても思えないのだが、実践の中から気づき学び続けることが、ファシリテーションの力を少しずつ高めていく一歩であるという>ささやかで、当たり前の実感がある。これからも実践の中から気づき学び続けることを大切にしていこうと思っている。そして、いつでも顔を出せる、暖かい古巣は、私がこれからもかかわる姿勢を大事にしていく力になるだろう。
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