偏相関係数

 あまり使われない分析ですが,私個人としては,心理学の分野では使いでのあるものだと思うのですが…

 例えば,自尊心と不安感と依存心の関連を考えてみます。これらが三つどもえ状態で相関関係にあることは容易に想像できます。下図のように。

 この中から,任意に2つの要素を取り出します。自尊心と依存心にしましょうか。自尊心と依存心の相関係数を求めることは,データがあれば簡単にできます。しかし,自尊心と依存心の間の相関係数は,aを示しているわけではありません。三つどもえ状態を仮定した場合,そこには不安感を通した関連性も含まれます。つまり,bやcの関連の強さが相関係数の中に含まれてしまい,純粋にaの関連の強さだけを示しているわけではないのです。

 ではbやcの関連性を,自尊心と依存心の間の相関係数から外すことはできないか。これをやってくれるのが,偏相関係数です。
 これを応用すれば,3つ以上の多くの要因が絡まっている中での,特定の2つの要因間の関連性を算出することができます。上手に使えば,面白い分析方法だと思うのですが…。これ以上の説明は,統計の本をどうぞ。

 さて,手順ですが以下のように開きます。

  分析
    
→ 相関
 
    → 偏相関

 そうすると,「偏相関分析」というダイアログボックスが表示されます。そこには「変数」というボックスと,「制御変数」というボックスが出てきます。「変数」の方には,偏相関係数を求めたい2つの変数を移動させます(3以上も可)。「制御変数」の方には,そのコントロールしたい変数を移動させます。
 つまり,上の例のように,不安感の影響をコントロールした,自尊心と依存心の間の偏相関係数を求めたければ,自尊心と依存心の変数を「変数」に,不安感を「制御変数」の方へと移動させます。これで「OK」。

***********シンタックス

 偏相関係数の算出命令は,PARTIAL CORRです。

PARTIAL_CORR_/VARIABLES=偏相関が求められる変数_BY_影響をコントロールする変数.

となります。半角アケの部分が見えにくいので,_(アンダーバー)にしてあります。

●「a3」を制御変数として,「a1」と「a2」の間の偏相関係数を求める。

PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a1 a2 BY a3.

●「a3」を制御変数として,「a1」と「a2」の間の偏相関係数を求める命令を,ダイアログボックスを使って書くと…。(つまり,下の2行は省略可)

PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a1 a2 BY a3
 /SIGNIFICANCE=TWOTAIL
 /MISSING=LISTWISE.

●「a3」「a4」「a5」「a6」のすべてを制御変数として,「a1」「a2」の間の偏相関係数を求める。

PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a1 a2 BY a3 a4 a5 a6
 /SIGNIFICANCE=TWOTAIL
 /MISSING=LISTWISE.

●「a3」「a4」「a5」「a6」のうちの任意の2つを制御変数として(すべての組み合わせが計算される),「a1」「a2」の間の偏相関係数を求める。

PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a1 a2 BY a3 a4 a5 a6 (2)
 /SIGNIFICANCE=TWOTAIL
 /MISSING=LISTWISE.

●「a1」「a2」「a3」「a4」「a5」のうちの任意の2つの間の偏相関係数を,他の3変数を制御変数として求める。

PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a1 a2 BY a3 a4 a5.
PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a1 a3 BY a2 a4 a5.
PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a1 a4 BY a2 a3 a5.
PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a1 a5 BY a2 a3 a4.
PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a2 a3 BY a1 a4 a5.
PARTIAL CORR
 /VARIABLES=a2 a4 BY a1 a3 a5.
  ......

と,面倒なのですがズラズラ書いていく方法しか知りません。簡単な書き方をご存知でしたら教えてほしいです。