末摘花(すえつむはな)

〜赤鼻の零落姫君〜

巻名の由来:源氏の歌『なつかしき色ともなしに何にこの末摘花を袖にふれけむ』
        末摘花は紅花のこと。姫君の花の先が紅花で染めたかのように赤かった事から


◆あらすじ◆
急死した夕顔を忘れかねたままでいた源氏は、故常陸の宮の姫君(末摘花)が今は零落して落ちぶれた生活をしているという話を聞き、興味を持ちます。古風な姫君はなかなかなびこうとしませんが、源氏は例によってまめに文を贈り、やっと契りを交わします。ところが高貴な宮家の生まれというだけで美しくて嗜みのある深窓の姫君と勝手に思い込んでいたのとは裏腹に、末摘花は引っ込み思案が過ぎ、会話のやりとりさえままならない、何とも味気ない女性であったため源氏は失望します。
そしてある冬の朝、雪明りの前で末摘花の顔を初めて見た源氏は愕然とします。顔は異様に青白くて馬面、鼻は象のように長く、その先は紅で染めたように赤いのです。体つきは骨ばってゴツゴツし、胴長なのです。しかしその醜貌からは想像できないほど、黒髪は誰にも劣らないくらい長くて豊かな髪がまっすぐに伸びています。
あまりの醜女ぶりに驚愕した源氏ですが、この姫君の面倒を見てくれそうな男性は自分以外にいないだろうと、経済的な援助を続けようと決心します。

◆YUKIのひとこと◆
源氏物語の数少ないコメディキャラクターの登場です。美しい女人が多く出て来る中、気の毒なほどその醜女ぶりを強調されている末摘花。紫式部はこの姫君を何故ここまで醜く描いたのでしょう?長大な物語の中で、読者がちょっと一息ついて笑える場面を作りたかったのでしょうか?確かにインパクトはありますが、ちょっと気の毒・・・。
当時の男性は、女性の顔を見る前に噂話などからその姿や性格を想像し恋に発展しました。深窓の姫君であれば垣間見するのも難しいので、実際に女性の顔を見て『げっ』と思うか、はたまた『思った以上に美しい女性でラッキー♪』となるかは、ある意味『賭け』だったのでしょうね。
考えてみると現代でも良く似た例があるかも、と思います。例えば電話の声から相手をキレイな女性(またはステキな男性)と勝手に想像してしまい、実際会ってみたらイメージと食い違い過ぎてビックリする事ってありませんか?源氏もそんな心境だったのでしょうか(笑)。

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