能に関係する言葉・諺2


6.「序破急」

  「風姿花伝」より。舞や演奏の早さの三段階のこと。序・破・急の順に速度を増し、クライマックスに向けて盛り上がる。導入・展開・終結と見なされることもある。能では一つ一つの型、舞、そして能においてそれぞれの序破急を意識することによって緩急を付ける。

7.「秘するが花」

  「風姿花伝」より。能にはこれが良い!と美点を強調するのではなく、逆に美点をほんのりと隠してみせることによって強く感じさせるという奥ゆかしい文化がある。能が質素な芸術であるというのもその現れなのである。表面に囚われることなく秘められた力強さ、底にある花を感じるのはあなたの心。能を見るときには素直な気持ちで見てみよう。
(類似(?):厳しさの中の優しさ)

8.「三拍子揃った」

  能に使われるお囃子の太鼓・大鼓・小鼓の拍子(リズム)が揃うこと。転じて三つの大切な条件全てが整っていることを指す。(参考 能の囃子)

9.「五人囃子」

  雛飾りに見られる五人囃子の元は、能の「お囃子+地謡(笛、小鼓、大鼓、太鼓、謡)」。だから、五人囃子の筈なのに一人は楽器の代わりに扇を持っているのである。桃の節句には是非確かめて欲しい。
(参考 能の囃子)

10.「ノリが悪い」

  能の囃子は「ノリ地」と呼ばれる。詳しく言えば「平ノリ」や太鼓が入った「大ノリ」がある。そのリズムの調子が悪いとき、それを「ノリが悪い」と表現した。若者が好んで使うが、意外に古い言葉だったのである。


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