仕舞 草子洗小町キリ

 

三番目物

季節 夏(四月)

 

ストーリー(下線部が仕舞部分)

 三番目物の鬘物で、小野小町が主人公ものです。  宮中での歌合せのとき、大伴黒主の相手が小野小町に定められました。黒主は、とうてい詠歌では勝てそうないので、一策を案じます。そして供を連れて、その前夜小町の家に忍び込み、小町が明日吟ずる歌を口ずさむのを盗み聞き、それを万葉の草紙に書き入れておきます。翌日、清涼殿の歌合せには、帝をはじめ、紀貫之や男女の歌人が居並びます。いよいよ小町の歌が披露されます。すると黒主は、その歌は万葉の古歌であると講義し、その証拠にと、ひそかにその歌を書き入れた草紙を示します。小町は万葉の歌をことごとく知っているので、そんなはずはないと思いますが、帝の前をはばかり、争うことができず、悩み悲しみます。そして、せめて黒主の出した草紙を洗わせてほしいと貫之を通して願い出ます。帝の許しを得て洗ってみると、書き入れた一首だけが消えうせ、入れ墨であることが露見し、小町の正しさが明らかになります。黒主は非を恥じて自害しようとしますが、小町のとりなしで帝にも許され、小町は御祝を祝い、和歌の徳を讃えた舞を舞います