小袖曽我

 

・四番目物

・五月

・1時間20分


ストーリー

 日本三大敵討ちの一つ、曽我兄弟の物語です。
 話は兄弟が曽我の里の母親を訪ねるところから始まります。ここに来る少し前、兄十郎祐成と弟五郎時致は父の仇である工藤祐経を討とうと決心し、計画を立てていました。
 そこで、仇討ちに出かける前に母のもとを訪ね、以前勘当されてしまった五郎のことを許してもらおうと思い、こうしてやってきた、と言う訳です。ところが、母親は五郎を許すどころか、彼をかばうのなら十郎をも勘当する、と二人に言い渡します。兄弟は母のつれない態度を嘆き、仕方なく家を後にしようとしました。しかし、二人がまさに家を出ようとしたとき、二人の様子に心打たれた母親は二人を呼び止め、許すのです。
 ここで場面は変わって、兄弟の門出を祝う宴の席になります。母親に認められ喜ぶ兄弟は酌をし合って舞(男舞の相舞)を舞います。そして、憎き仇が現れるという頼朝の富士の裾野の巻狩りに参加すべく勇んで出発するのでした。

 

見所

 この曲の見所は、なんと言ってもシテ十郎祐成ツレ五郎時致による相舞でしょう。兄の十郎祐成は思慮深く、弟の五郎時致は熱血漢という、個性の違う兄と弟ですが、父の仇を討ちたいという強い思いだけは一緒です。
 特に後半は勘当が解けて、はれて敵討ちに行ける身となった兄弟の喜びと勇ましい様子を、めでたい曲に乗せて表現します