玄象

 

・五番目物

・九月

・1時間30分

 

ストーリー

 太政大臣・藤原師長(もろなが)は琵琶の名手でしたが、さらにその腕を磨くため、唐へ渡ろうと、須磨の浦まで来ました。一夜の宿を借りて琵琶を弾いていますと、折りしも雨が降って来ました。宿の老主は雨音に琵琶の調子を整え、また老女はそれに合わせてすばらしい琴を奏でます。感嘆する師長に二人は、自分たちは村上天皇と梨壷女御の霊であり、、師長一行の唐渡を引きとめるべく現れたのだと語ります。その後帝が本来の姿で現れ、龍宮より取り戻した名器「獅子丸」を師長に授け、龍神を伴い天上へと帰るのでした。

見所

 醍醐天皇の時代に中国から三面の琵琶の名器が来日しました。「玄象」「青山」「獅子丸」です。そのうち竜宮に奪われてしまった「獅子丸」を、村上天皇が取り戻し、師長に与える様子が描かれています。竜神を使役して竜宮から「獅子丸」を持ってこさせる様は、迫力があります。また、仕舞部分には帝の堂々とした様と師長の嬉しさや決意が表れています。