敦盛

 

・二番目物

・春

・1時間20分

 

ストーリー

 一ノ谷の合戦で大敗した平家は、一斉に沖の船に逃れようとします。敦盛が馬に乗り、船のを目指して海中に乗り出そうとすると、一騎の武将が敦盛を呼び止めます。その武将の名は熊谷直実。直実は敦盛の立派な鎧兜を見て、名のある武将に違いないと思い呼び止めたのです。敦盛は死を覚悟して駆け戻ります。しかし、百戦錬磨の直実に敵うはずもありません。首を取ろうとして敦盛を見た直実は驚きます。敦盛は息子と同じ年頃だったのです。息子の姿を思い出すと直実は敦盛を切ることができません。直実は何とかして敦盛の命を助けようとします。しかし、敦盛はそれを潔しとせず拒みます。そうこうするうちに、源氏の軍勢が迫ってきます。もはや助けるすべはありません。直実は他のものの手にかかるよりはと思い、敦盛の首を打ち落とすのでした。
 能『敦盛』は、平敦盛の死後のお話です。敦盛を討った熊谷直実はその後出家をし、「蓮生」と名乗ります。敦盛を供養するために一ノ谷を訪れた蓮生は敦盛の霊に出会います。敦盛は蓮生に平家一門の衰退、都落ち、一ノ谷で自身が蓮生に討たれた際のことを語ります。そして仇にめぐり合えたことを喜び、蓮生を討とうとします。しかし、蓮生が自分を供養してくれることを思い、恨みを捨てて去っていくのでした。

 

見所

 平家の栄枯盛衰の象徴とも言われる「敦盛」の話です。若武者らしく颯爽と舞われる舞に切なさが募ります。仕舞部分では、仇として蓮生を討とうとしますが、供養しようという蓮生の心、そして仏の前ではみな兄弟であるということを思い、恨みを捨てて成仏していきます。