海士

 

・五番目物

・二月

・1時間40分

 

ストーリー

 藤原房前(ふさざき)は志度の浦へ母の供養に赴き、一人の海士から自分の出生の秘密を聞きます。彼の母は身分が低かった為、命をかけて宝玉を取り戻す代わりに子供を大臣の子と認めてくれるよう頼んだのです。海士は竜宮に奪われた宝玉を取り戻す有様を物語り、自分は房前の母の亡霊であると言って消え失せます。供養をしていると、彼女は龍女の形で現れ、舞を舞って成仏を喜びます。ありがたいお経のおかげで成仏できたのである、と言うお話です。

 

見所

 子供の為に自分の命をもなげうつ母の愛がぎゅっと詰まった曲です。仕舞部分では、一度は竜宮の護りに躊躇うものの、子供の為に思い切って飛び込み、身を挺して宝玉を守り抜きます。謡が物語り調なので、型とシンクロして解りやすいと思います。