仕舞 龍田キリ
一番目物
季節 霜月
ストーリー(下線部が仕舞部分)
龍田川のほとりにやってきた僧の一行は、龍田明神に参詣するべく川を渡ろうとしますが、巫女が現れ、心なく川を渡らないで下さいとたしなめます。僧は「龍田川 もみぢ乱れて流るめり 渡らば錦 中や絶えなん」の歌を思い出しますが、今は薄氷のはる川なので許してほしいと言います。すると巫女は「龍田川 もみぢを閉づる薄氷 渡らばそれも 中や絶えなん」ともあると言います。巫女は川を渡らずに龍田明神に参詣する道を案内し、もみぢが当社の神木であると教えます。そして、龍田姫は私であると明かし社壇に消えます。
夜、龍田姫の神霊が現れ、御代を守る天の御矛の守護神、滝祭りの神とは当社のことだと語り、龍田のもみぢを愛で、夜神楽を奏します。神が起こした風によって紅葉が散り乱れるもみぢ葉は神の幣(ぬさ)。時雨降る音は、鈴の聲。立つ川波は、白木綿(しらいう)。そのなかで神の衣が翻り、そして、神は空へ還ってゆきます。
意気込み
本来なら川も凍っている寒いなか、一瞬だけの紅葉の乱舞。神が舞うという荘厳な雰囲気、張り詰めた空気を少しでもだせたら、と思います。男神である龍田彦ではなく、女神である龍田姫なので、柔らかな感じも出しつつ、流麗な舞を心がけたいです。
紅葉が吹き乱れる様を表す羽根扇、サシを特に今回は練習しました、心の中に紅(くれない)の紅葉を思い浮かべながら見てください。