教え学び支えあう 教育現場間の連携づくり −ラボラトリー方式の体験学習を核とした2つの連携プロジェクト−

南山大学 法科大学院
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講演会・研究会

第2回公開講演会

講演会記録
「結ばれ合う学びの活動〜大学と小学校の協働を事例にした活動理論のプロジェクトから〜」

講師:山住勝広氏(関西大学 教授)

■ハイブリッドな教育プロジェクトという考え方について
今日の学校教育において重要。
ハイブリッド=異質なものが混ざり合う
→教室の中に閉ざされている学校教育を現実の社会や生活へとつなげ、新しい教育や学びの在り方を考えていくことが大切。

■活動理論についての基本的な枠組みについての紹介
活動理論とは、あらたな人間活動をデザインし、それを実践するための枠組みとなるもの。
○活動理論の基本的な3つの原理
1.人間の動機に注目する。動機のない活動は考えられない。
◆レオンチェフの例を用いて説明
・子どもの歴史の試験勉強の例
・飛行サークルの競技会の例

2.活動の基本原理は協働活動
◆レオンチェフの理論の紹介
◆ユーリア・エンゲストロームの理論の説明
◆クルト・レビンとの関わり
◆ヴィゴツキーの二重刺激法の紹介

3.発達の原動力としての矛盾
◆ヘルシンキの中学校dねお発達的ワークリサーチ例の紹介

■第三世代活動理論について
もともとの活動システムにフィードバックし、前にあったものから接触と交換をとおして変化していく。これを見ていこうというのが第三世代活動理論。つまり活動理論を今の新しい世代がテーマにしていること

■学校改革の一つのモデルを提案
今学校改革というものをどのように構想できるか
学校における拡張的な開発の二次元モデルについて説明

■学びあう学校改革についての作業仮説
・学びのネットワークという方法に垂直も水平も、学習の対象も学習の組織も活用していくということは学びのネットワークというハイブリッドな異質なものが混ざり合った活動の形態を作り出すということ。
・学びのボトムアップ
学校外のコミュニティとか組織の間で下からの学び合いとか協働をつくりだして、つまり拡張的学習をつくりだして学校の改革へと挑戦していく

■関西大学人間活動研究センターがとりくんでいる「New Schoolプロジェクト」の紹介
「ハイブリッドなネットワーク型の活動システム」
食学プロジェクト:食を楽しもう
2007年度「わたしたちの食卓―伝統野菜って何?」
ゴール:小学校の活動を日常の社会的な生活実践の活動との間のギャップに橋渡しする。
□ダイジェスト版をビデオにて紹介(約5分)
環境問題に対する気付きや思考もあって社会変化の担い手としての学校の学習活動が、ハイブリッドなものとしてとりおこなわれ、学びのネットワークとして地域における新しい文化をつくったり、経済のありかたを考えたり、市民生活の質の向上など、社会をよりよくかえていくことと学びの活動が結びつく、そういうありかたを追求している。

■ノットワーキングという考え方について
ノットワーキングとは、本来離れ離れの人々や活動の間に「ノット(knot)」つまり結び目をつくること。異なる複数の行為者やパートナー間で影響を与え合い、活動の対象を部分的に共有していく、一つの生産的な組織化と遂行のやり方
◆教育のノットワーキングの考え方
ノットワーキングをうまく活用して、教育や学校を変化、拡張させていくことが考えられる。ノットワーキングは多様で拡張的なこどもたちの学びを生み出すのではないか。外に存在するリソースを結びつけて、その間をやりとりすることで、学校における学びの活動の対象だったり軌跡を多様化する、拡張することができるのではないかというのが教育のノットワークという考え方。
◆総合学習を行う上での小学校の現在の問題点
1.子どもたちの基礎的な技能不足
2.子どもたちの探求心、深く学ぶモチベーションが無い
3.教科を超えてカリキュラムをつくる難しさ
◆関西大学と小学校とのノットワーキングの事例
「関西大学ってどんなところ?」―小学3年生の子どもたちを大学に招き、関心のある課題を子どもたちが自ら発見し、グループを作り、人々の活動や施設、設備を探検して、調べ、学習に取り組み、その成果をまとめて発表する、プロジェクト型の学習活動を実践。
□その様子をビデオにて紹介(約5分)
学びの軌跡ということから、先生たちと振り返って話し合う場をもつ。教師たちとのミーティングは、「事例研究」といった様式をとっている。教えること中心から学ぶこと中心にしたときに、注意関心を学習の過程に向けると、先生や私たちは集団で教える学びのプロセスというものについて相互に検討し、一緒に作り出していくようになる。それについての知識を獲得していき、それぞれが独自に知識を獲得していくといっている。映像記録から作成したビデオクリップやこどもたちの成果発表から、学びの軌跡、どういうふうな学びの道のりがあるのかを事例としてとりたてている。
◆学びの軌跡の具体的な事例の紹介
博物館を調べたグループが、学習発表会の際に作成した壁新聞にかいていたこと
こどもたちの「イノシシの説明」→子どもたち自身が学校外の学びの多様な提供者(ここでは博物館の学芸)との間で発生したノットワーキング(結び目づくり)に基づいていた。
□その様子をビデオにて紹介(約5分)

■まとめ
ハイブリッドな学びのネットワークを試みた場合、ほとんど、計画などがなされていないところで結び目がその都度その都度生まれていくことを期待することができる。
こども達の学びの軌跡は拡張する可能性があり、同時にこういった学びは子どもだちが自分たちでどういった学びの軌跡を作り出していくのかを主体的に参加させる、また主体的な役割も担わせる力ももっている。
子どもたちも参画して学びの協定をつくりだしていく、結び目を通した学びの軌跡の広がり、多様性、活動を考えることができるのではないかというのが結論。

アンケートまとめ

第1回 公開講演会・シンポジウム 参加者 計35名
『結ばれ合う学びの活動〜大学と小学校の協働を事例にした活動理論のプロジェクトから』
日時:2008年3月15日(土)午後3時〜午後5時  DB1教室
◆所属  小学校:4名  中学校:4名  高等学校:3名  その他:2名 不明:22名

◆講演の感想

・難しい言葉、現代の用語が教育に入ってきて理論を構築しているので興味深かった。
・初めて聞くような語句が多く、難しかった。活動理論を用いたNSは興味深かった。総合学習においてはそれぞれの学年においてテーマを何にするかがむずかしく、学年ごとにテーマを固定し、そのテーマを角度を変えて取り組むという形にしている。教師の取り組む姿勢によって、子どもたちの学習への深まりが変わってくる。6年生の児童が3年生より合唱に取り組んできた成果はまさしく活動理論だと感じた。
・小学校と地域などの連携は今後さらに重要となることを感じた。二つの事例研究も興味深く聞かせて頂いた。児童の言葉、作品、インタビュー(事例を終えての)などを取り上げて頂けるとうれしかった。
・私の知っていた、あるいは考えていた、あるいは実践してきた総合学習のスタイルとは違うものを(十分ではないにせよ)吸収する機会になった。しかし、自分にとってあまりにも目新しい用語や考え方が多々あり、初めてそれらに触れたことによって驚いたことも多かったが、正直理解不十分だった。他の機会でもう一二度触れると、私なりに頭の中で整理できて、興味、関心がわくかもしれない。
・総合学習への運営において参考になった。
・今までの研究の中で違った切り口でラボラトリーについての内容についての新たな視点を得た気持ちがする。学校の学習、活動を拡張する方向性はかなりの条件が整わなければ成立しないと感じた。ノットワーキング、結び目が活動の中で生じてくる、それはプロセスの発動と同じような性質のものと考えられた。
・NSの活動に、教育における今後の大きな方向性を感じた。今後の活動に期待している。
・日々高校で考えている中で、いつも「意欲」をどう育てるかに頭を悩ませている。「何を」「何のために」「明日には花開くつぼみ」One side fit few「教えること中心から学ぶこと中心への転換」などたくさん大切なキーワードを頂いた。現在の孤立した学校の中でも何か・・と思うが、待っていないでできることをもっと考えていこうと思った。
・理論を十分説明していただいたのでよかったと思う。また実践報告についても興味深く聴けた。
・教育実践という視点で見ると、とても大きな貢献を果たしていることを感じた。個人的には活動理論を通してみたNSの結果を聞きたかった。
・学校教育の改善のヒントになった。
・こどもたちが立体的になるためのプロジェクトについて学校外とのつながりの中での新しい形について教えていただいたように思う。NSの活動で総合学習の方策を教えて頂いたように思った。

○今後の講演会やワークショップへの希望
・よく引用されるヴィゴツキーの理論について知りたい。
・最近注目されている認知行動療法について知りたい。