ケース「外国為替取引リスク管理」
作成者:竹澤直哉(ビジネス研究科准教授)、小林照幸(ビジネス専攻修了生)
概要
本ケースは東海地区に生産拠点を置きながら、アジア諸国(中東、南アジア、東南アジア、東アジア)に主な取引先を持つ中小アパレルメーカーが直面する課題「為替リスクをどのように管理すべきか」について学習することを目標にしている。
近年、東海地区におけるビジネスのグローバル化にしたがい、中小のものづくり企業もその波に合わせてアジア諸国に事業展開する事例が増えてきている。取引相手がグローバル化する中、企業の手形や負債を日本円で決済し続けることは非常に困難になりつつある。とくに、定常的な円高は海外売り上げに大きな打撃を与えていることをふまえると、その重要性はさらに高まっている状況にあると言えるだろう。こうした為替リスクは、業種や企業規模の大小を問わず重要であることは言うまでもないが、東海地区でグローバルに活動する企業規模は中小のものも多い。大規模な企業は取引の規模・頻度、また取引先も多様であるため、その管理やリスク分散も理論的には比較的容易である。一方で、中小規模の企業の取引規模は小さく、頻度も少ない上、取引先を限定されているケースが多いため、為替リスクの分散をはかりながらリスクをコントロールすることは非常に難しくなる。本ケースは、中小規模の企業が取り組むことが可能な為替リスク管理手法の基本的理論について学びながら、さまざまな金融商品を使用した為替リスク管理との比較を行うことを目的としている。具体的には、為替先物や為替オプションといった金融派生商品と企業が行う取引リスクを簡単なスプレッドシートソフトであるエクセルを使いながら企業固有のリスク選好にあわせた形で最適化することを目指す。多くの企業では、複数の為替リスクを取り扱うため、複数の為替で決済される場合の最適化手法について学ぶことが可能である。
今後、グローバル化が進む東海地区の経済において、アジア諸国をはじめとする海外取引が増加する傾向にあることはまちがいないであろう。このような経済環境において、日本のものづくりを担う中小企業が積極的に自らの金融戦略を持ちながら為替管理を行うことによって、海外との取引に伴うリスクを積極的にコントロールすることで、ビジネスチャンスが広がることが期待される。本ケースは、こうした企業で働く東海地区の学生に基本的なリスク管理手法を教えることで、東海地区のものづくり企業の国際競争力を高める一助になることを期待する。


