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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.49「南山大学の“3Ds”」

2024年04月17日

今回の「エピストラ」で、今年度の「学長方針」の冒頭のところを皆さんと共有したいと思います。以下の通りです。

2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行されたことを受け、本学の運営はほぼ平常に戻り、ポストコロナの時代に入りました。2023年度の学長方針では、ポストコロナの時代では「以前の現状」に戻すのではなく、「新しい現状」を作り出す努力が私たちに要求されていると述べました。世界の現状に目を転じると、長引くロシアによるウクライナへの侵攻、イスラエルとハマスの衝突、地球温暖化、各地の災害等が生じ、「新しい現状」を作り出す努力の必要性をさらに証明していると思います。それに対し、カトリック大学である本学が果たすべき役割を改めて考えてみたいと思います。

新約聖書の「コリントの信徒への手紙 1」には、「体は、一つの部分ではなく、多くの部分からなっています」(Ⅰコリント12:14)と書かれています。それぞれの役割と能力を持っている目、耳、足、手等の部分が結合し、私たちの身体は一つの存在として動いています。身体の機能は普段あまり気にしませんが、地球も私たちの身体と同じように、各部分がお互いの必要性を認め合い、自分の役割を果たしています。また、「一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶのです」(Ⅰコリント12:26)と聖書は続けます。私たちもお互いの必要性を認め合い、それぞれの能力・才能を使って補い合い、共に喜ぶ、共に苦しむ存在になっています。

「新しい現状」に向かう本学の使命は、“3Ds”という英単語のイニシャルで表現できると思います。Dignity、DiversityとDialogue、すなわち、人間の尊厳の推進、多様性の重視、対話の場づくりとその実践です。全ての人が平等に持っているかけがえのない尊厳が守られ、国籍・文化・ジェンダー・世代等多様な背景を有する人々が、お互いに持っている意見、信念、価値を出し合い、共に真理の探究と現実的な行動を補い合う場としての大学こそが、ポストコロナの「新しい現状」の構築に重大な役割を果たすと考えています。私たちが本学のアイデンティティとして大切にしてきた国際性を礎に、3Dsの実現へと力を尽くすことこそが、「地球規模の関心、私たちの貢献」を果たすことになると思います。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp