南山大学

 

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2010.10.25

 本研究所では人類学に対する理解を社会に広めるために、研究活動の一環として人類学フェスティバル「人類学のおもちゃ箱」を開催します。「おもちゃ箱」と命名した理由は、さまざまなものが共存している現代的な状況を象徴し、参加者の立場からはどこから何を取り出しても面白いという驚きや楽しさが期待できる時空間を提供したいという趣旨からです。  
 人類学はフィールドワークを基本とし多様な方法論を採用します。その成果の発表は文字情報だけではなく、画像、映像など多様なメディアを必要とします。事例によっては研究者自らが何かを実演する、あるいはワークショップ形式で物を作るなどの体験も研究成果還元のために必要になってくるわけです。  

  人類学のフィールドは日本国内から世界におよびます。しかし地元愛知、名古屋あるいは八事地区においても伝統的な文化の維持や復興活動、あるいは伝統に基づき新たな文化の創造活動も盛んです。また文化の表現も従来にない斬新な形になってきています。そのような活動に関わる市民の方々や他学の学生にも発表の場を提供し、相互交流を通して研究者や学生が社会地元の文化活動と関わっていくきっかけとするのも目的です。その意味で本企画は実践的な人類学の試みでもあるといえます。本研究所がそのように社会に開かれた大学の窓口になることは意義あることであり、また本企画を通して市民からの人類学へ対するフィードバックを直接聴くことで研究所活動の活性化を期待できると考え、本企画を提案しました。  

【計画中の企画】 本研究所の所員である南山大学人文学部人類文化学科教員の担当するアフリカ、インド、沖縄(フィールドワークゼミ)、名古屋文化発掘(例 からくり人形や名古屋駄菓子を題材)等のゼミにおいて、夏休みを中心に行われたフィールドワークの成果、とくに画像や映像あるいは民族資料を展示します。さらにパフォーマンス(例 衣装着用や民族ゲーム実演)、コーヒー・紅茶試飲などの形でその地域の文化の多角的理解を図る試みを行います(ロゴスセンター内)。金城学院大学から参加するゼミは、ビーズの装身具作りのワークショップを行い、日頃から身につけている装身具を自ら作ることによって観察眼を高め、体を飾る意味を考えることを目指しています(C棟2F)。  

 また市民参加企画として、八事商店街の伝統行事「八事の蝶」保存会の会長にお越しいただき、八事の蝶の歴史や由来のミニ講演のあと、蝶々作りのワークショップを行う予定です(C棟2F)。さらに八事で活動している創作舞踊「舞工房」のメンバーによる、日本の伝統文化の新しい表現である三味線の弾き語りと踊りを「般若心経」「枕草子」「万葉集」などを題材に演じてもらいます。踊りと同時に切り絵細工を本学学生が作り、音楽に合わせ演ずる予定です。弾き語りの前座として千種区で紙芝居を実践している方が「浦島太郎」の紙芝居と同時に名古屋駄菓子をお配りします(ロゴスセンター・メインホール)。メインホールではフラの公演もあります。   

 C棟1階の食堂スペースにおいては「人間の身体のモノ化」をキーワードとした企画展を行います。昨年度埼玉県鶴ヶ島市から南山大学人類学博物館に移管されたニューギニア美術コレクションの一部(例 仮面や祖先像)および名古屋・東海地区の伝統の技である「からくり人形」の研究発表と展示も行います。  

主催:南山大学人類学研究所
共催:南山大学人文学部人類文化学科
協力:金城学院大学
日時:2010年11月21日(日)、10:00〜17:00
会場:南山大学名古屋キャンパスロゴスセンターおよびC棟1階、2階(食堂スペース)
参加:無料  ※ただし一部は実費をいただく予定です。