横山 輝雄

職名: 教授

専門分野: 科学文化論、科学哲学

担当科: 科学文化論、言語とコミュニケ−ション、文化と情報

研究内容紹介&自己紹介

 20世紀は科学技術の時代でした。日本列島も1960年代の高度成長の時期からその風景や景観を大きく変えてしまいました。名古屋や東海地方は、トヨタをはじめ産業技術の中心で、「100メ−トル道路」などはかつては全国から模範とされたものでした。しかし、21世紀にはいった現在、そうしたありかたには反省が求められています。環境問題はいうまでもありませんが、自動車の移動の効率だけを優先した都市空間が、人と人とのふれ合いをうばってしまい、郊外住宅地の殺伐とした風景から脱出したいという人が増え、家庭菜園や、週末農業などが好まれるようになってきました。私の友人にも、週末は恵那でお米を作っている人がいます。
 環境や生命の問題については、生物学をはじめ自然科学が大きな役割を果たしていますが、それだけで人間と自然の豊かな関係の全体をとらえることはできないと考えています。学校で教えている「生物学」は、実験室で物質に還元できる面だけしかあつかっておらず、自然環境で体験されるものから大きく離れてしまっています。そのため環境教育などでは「自然に対する畏敬の念」といった、科学とは違った次元の自然とのふれ合いが模索されています。現在関心をもっていることは、西欧の近代科学とそれ以前の自然観、例えば「民俗分類」といったものとの比較文化的研究です。日本でも江戸時代まで、現在学校でならう科学とはちがった自然観が保持されていました。それは単に頭のなかにある抽象的な理論ではなく、生活スタイルのなかに実現されているものでした。現在もそうしたものは完全に消滅してしまったわけではなく、残されたものを保存していかなければなりませんが、そこには大いに学べきものがあると思われます。もっとも、そのことは江戸時代に回帰することではなく、新しい科学技術の中で有意義なものは、もちろん積極的に生かす必要があります。科学文化論では、電話、ケ−タイなどの通信機械が、人々のコミュニケ−ション様式や、言語表現をどう変えようとしているかといった問題もあつかいます。
 分子生物学のような実験室内の還元主義的科学以前には「博物学」といわれる野外観察に基づいて動植物を記載分類する学問がありました。進化論で有名なダ−ウィンもそうした伝統の中の人物です。博物学は、動植物園や展示会、博覧会などにつながっています。現在動物園のありかたが反省されています。動物を檻の中に入れて展示するのは人間の勝手にあわせたは残酷なことなのではないかという疑問から、新らしい動物園の在り方が検討されています。東山動物園や名古屋港水族館も現在とはちがった形のものに将来なるかも知れません。そうしたことも科学文化論の問題です。

email: yokoyama@nanzan-u.ac.jp

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