青山 幹哉

職名: 教授

専門分野: 日本中世史・系図学

研究内容紹介:

主要論文:
「中世武士における官職の受容−武士の適応と官職の変質−」(『日本歴史』577、1996年6月)
『新修名古屋市史』第二巻第二章(名古屋市、1998年7月)
「十八世紀系図家の描く中世像―長慶寺所蔵『山田世譜』の分析―」(『名古屋大学文学部研究論集』史学45、1999年3月)

現在の研究課題:
中近世の武士系図における氏祖伝承と「正統的な」歴史認識の形成

担当の授業科目: 「日本史」「日本史概説」他

自己紹介:

武士はヤクザだったのか?

 歴史学の面白さは、通説や当たり前だと思われている事柄をまず疑ってみることから、始まる。
 一つの例として、1180年代の内乱、いわゆる源平合戦を取り上げてみよう。この内乱は、西国に勢力をもつ平家と源頼朝以下の関東武士団との戦いであったが、両軍の合戦に対する考え方には大きな違いがあったらしい。『平家物語』はそれを以下のように記している。すなわち、・ス家軍は親が討死すれば子、子が死ねば親が悲嘆して戦場を離脱してしまう、さらには厳寒酷暑のときには合戦を嫌うような軟弱な兵であるのに対し、関東の兵は親が死のうが子が死のうがその屍を乗り越えて敢闘する剛毅な武士であると。
 これは惰弱な公家やそれと同化した平家は滅ぶべき過去の存在であり、新時代の主役は質実かつ猛々しい武士であるとする歴史観を表現しており、実際、武家政権成立以降の歴史は、「武士=善」とする考えを人々に植え付けていったのであった。
 ところが、ようやく近年にいたって、この通説を疑う見方が登場した。武士はごろつき、ヤクザとする考え方である。武士は平和な村に乱入してきた暴力団であったというのである。確かに、武士以外のものの立場に立てば、その通りであろう。不思議なもので「武士=悪」という・挙_から見ると、先に挙げた『平家物語』の記述も、なぜか平家の方が人間的・文明的であり、東国の武士がいかに野蛮で残酷であるかのように思えてくる。
 しかし、この問題は「武士=善」か「武士=悪」か、という二者択一の問題ではない。「武士=悪」という視角を導入することで、歴史をより多面的にとらえることが可能となったことが重要なのである。名探偵コナン君は「真実はいつも一つ」と断言する。だが、一つの真実であっても、いろいろな角度から照明をあてて考える方がよい。歴史学では、考えて検証し、検証しては再考察するプロセスが大切なのであり、面白い。

email: aoyama@nanzan-u.ac.jp

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