[Searching for Equitability and Peace in the Post-9/11 World: Exploring Alternatives for Australia and Japan]

ワークショップの趣旨及び目的について

ワークショップの直接の目的は次の二点に集約される

本ワークショップの目的は、このように両国の外交政策のオルターナティブの可能性を探ることであるが、現在の政策に対して批判的な研究者やNPO/NGO関係者だけではなく、現在の政策を支持する人々も招き、提案されたオルターナティブについても批判的に討議したい。しかしこの討議は、政策の短期的な実行可能性のレベルにとどまらず、より長期的かつ理念的レベルで行うことを目指したい。

ワークショップの終了後、直ちに議論のまとめを含めた比較的短い報告書を日英両言語で公刊する。その後、参加者がワークショップでの討論を踏まえ、報告原稿に加筆修正を加えた論文を執筆し、これも日英両言語で論文集として出版する。

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ワークショップの実施理由や問題意識

現在、日本とオーストラリアはいくつかの側面で類似した立場におかれている。両国はアジア・オセアニア地域での先進国であることのほかに、両国の対米関係は類似した側面があるという事実もある。両国にとって米国は重要な通商相手国(日本の場合、第一の相手国、オーストラリアの場合は日本に次ぐ第二の相手国)である。安全保障の面では、両国にとって米国との条約(日米安全保障条約及びANZUS条約)が安全保障の基盤となっている。なお、両国は米国と通商や安全保障のような利害関係を越えた友好的な関係を持っている。両国から一般市民レベルでの米国への行き来は多く、米国人と友人関係を持っている人も多い。

さらに、両国は他のアジアの国に対してある程度の脅威感を抱いている。インドネシアの軍事力に対して不安を抱いているオーストラリア人が多く、また日本には北朝鮮が具体的な脅威をなしている。なお、アジア大陸の巨大な人口は両国にとって脅威として映りやすいのである。この脅威感ゆえに、世界の唯一のスーパーパワーである米国との良好な関係は高く評価され、米国に追随する傾向が一層強まっていると言える。

2001年の九月に米国で起きた同時多発テロ事件は、両国に大きな衝撃となり、政府レベルでも一般市民レベルでも米国への強い同情と連帯感が著しく現れ、両国で米国に対する批判も許されない雰囲気が生まれ、政府もただちに米国の対応への協力を約束した。

しかし、特に9.11事件以降、米国との関係や対テロ戦争への参加は両国にとって深刻な政治的・社会的課題となっている。両国は米国との良好な関係の維持のためアフガニスタンやイラク攻撃を含む対テロ戦争においてブッシュ政権を支持し、イラクにも派兵・派遣をしている。しかし、両国には米国の方針に懐疑的な人々も少なからず存在し、世論は揺れ動いている。実際に米国への協力のために両国の市民が実際にテロの標的になり、犠牲になっている。

米国に追随することは現実主義の立場からは理解可能ではあるが、21世紀の世界における公平さと平和の実現という人類的課題に応える方針といえるかどうかは疑問である。米国追随以外のオルターナティブの検討こそが今求められている。

ワークショップの意義

9.11事件以降、そして特にイラク攻撃以降、日本とオーストラリア両方の社会にある種の亀裂が生じている。両国政府の米国追随という方針には反発もあり、かえってテロ問題を悪化させるのではないかと懸念する人も数多くいる。国際レベルでも亀裂が深まる傾向が見られ、ブッシュ大統領の再選によりその傾向は一層強まるであろう。日本とオーストラリアがどのような政策を採るかは両国内のレベルにとどまらず、アジア・オセアニア地域レベルで、そして世界規模で、21世紀の安定及び安全保障に影響することは言うまでもない。

現在の両国の政策に批判的な問題意識を持つ学者、専門家、NPO/NGO関係者は決して少なくはない。重要なことは、9.11事件以降の世界における公平さと平和の実現にとって真に必要な政策や理念は何かを国家や所属を越えて議論することである。人類の運命につながる重要な外交政策については、通常の政策決定者だけではなく、アカデミックな研究者やNPO/NGOなどの市民セクターを巻き込み、理念のレベルにまで立ち戻った議論が必要である。近年の国連環境会議やWTOなどにおける市民セクターの発言力の増加は、世界が公正で平和な国際関係を構築する上で、従来とは異なるガバナンスの仕組みを必要としていることの証左である。

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