Yさんの留学体験記 (2016年4月)

留学先:リール第三大学

留学期間:2015年9月~2016年6月

留学形態:ISEP留学


フランス学科4年生Yさんによる留学体験記




Q.どうして留学することに決めましたか?
留学をしたいというのは高校時代からの夢でした。はじめは英語圏に興味があり、イギリスへ行きたいとずっと思っていました。そのため、はじめ大学の専門は英語でした。しかし、大学へ入ってからフランス語を第二外国語として学んでいくうちに、フランスの文化的また社会的価値観に興味を引かれ、専攻をフランス語に変えました。それからは必然的に留学もフランスに行きたいと思うようになり、当初は大学卒業後に行きたいと思っていたのですが、3年秋出発の交換留学のチャンスがあったので応募をすることにしました。


Q.フランス(リール)での生活はどうですか?
リールはフランス北部にある主要都市です。ベルギーの首都ブリュッセルからはTGV(フランスの新幹線)で30分という国境沿いに位置するので、文化もベルギーに似たようなものが感じられます。天候は、到着したのが9月のはじめでしたが羽織るものがないと寒いというくらいで、また雨が多く、冬などは降らない日はないのではないかと言いたいくらいですが、日本のように大粒の雨ではなく、断続的というわけでもないので、冬を超えれば比較的過ごしやすい場所ではないかと思います。また、物価も高くなく、パリまではTGVで1時間、パリまで出なくともリールから直接近隣諸国(ベルギー、オランダ、ドイツ、イギリスなど)へは日帰り旅行も可能という立地なので、ヨーロッパへ来る留学生にとって好条件が揃った場所だと思います。



Q.住まいの形態はどのようなものですか?その住居(寮/ホームステー/間借り)はどうですか?
 大学からは徒歩もしくは地下鉄で20分ほどの学生寮に住んでいます。一人部屋で、バスルーム、トイレは各部屋についています。キッチンは共同で、冷蔵庫は一人一人区切られていて、鍵もついています。洗濯機、乾燥機はそれぞれ2つずつしかないので、週末になると混みます。フランス人学生は少なく留学生が多い寮で、交換留学で来ている日本人学生には大抵この寮が手配されるようです。


Q.学校の授業はどのようなものですか?そしてどうですか?
リール第三大学では、学部への交換留学生は、大学で開講されている学士・修士のすべての授業が受講可能となっています。一学期で21単位以上30単位以下の履修という決まりはありますが(1科目2時間〜2時間半×12週=3単位というものが多いです)、南山では開講されていないような科目も含め、好きなように好きな科目を履修できるというのはとても魅力的なポイントでした。日本語学科の授業をいくつか履修していたのですが、やっていることがさっぱり分からないということはないものの、授業はすべてフランス語で、また3年生(フランスの学士の最高学年)の授業を取っていたので、想像していた以上に努力が必要でした。特に、日本語からフランス語への翻訳の授業では、NHKのニュースの記事を扱っていたので、語彙的にフランス語では馴染みのないテーマも多く難しい面がありましたが、現地の学生とグループになって課題に取り組んでいたので、お互いの得意とする部分を出し合って、いい翻訳を完成させることができました。これまで逆はあっても、なかなか長い文章を日本語からフランス語へ翻訳するということはしたことがなかったので、学ぶものが多くありました。他には、目当てであった映画学科のミュージカルについての授業や文化学科のグローバリゼーションについての授業、また、イタリア語、オランダ語などの授業を取っていました。


Q. 現地の人との交流などはできますか?また、それはどのようなものですか?
リール第三大学には、留学生や現地の学生が多く集まるカフェがあり、来たばかりの頃はよく顔を出していました。そこで知り合った友人も多くいます。また、日本語学科の授業を履修していたこともあり、何か特別意識するということもなく、気付いたら仲良くなって、友達ができていたという感じでした。交流は、一緒に課題をやったり、授業後にカフェに行ったり、お家にお邪魔して一緒にご飯を食べたりといった感じです。またフランス語の面においては、友達がいつも私のフランス語の間違いや発音を細かいレベルまで直してくれるので、とりあえず言いたいことが伝わればいいというレベルから、ちゃんとした発音で、場面に則ったちゃんとしたフランス語を使いこなせるようになりたいと思うようになり、それをさらに心がけるようになりました。北の人達はみな優しく、流暢ではないフランス語でも、嫌な顔をせずちゃんと耳を傾けて聞いてくれますが、発音が悪くて通じないという場面にも度々遭遇するので、もっとフランス語をやりはじめたときから発音を意識して練習するべきだったと、フランスに来てはじめて身にひしひしと感じています。いずれにしても、幸運なことに、私はたくさんの素晴らしい人たちに囲まれ、貴重な時間を過ごすことができています。想像していた以上に深く人と関わることができ、フランス語に出会い、ここフランスに来て本当に良かったと心からそう感じています。


Q. ISEP留学とはどのようなものでしょうか?
私は、ISEPというプログラムでリール第三大学に交換留学生として留学にきました。南山大学のフランス語圏の協定校となると、オルレアン大学、エクス・マルセイユ大学、そして最近新たに加わったEMBA(ブルターニュ・アトランティック・ビジネススクール)の3つが挙げられます。しかし、あまり知られていませんが、ISEPを通せばフランスをはじめ、カナダのケベックやスイスなどを含んだ15校以上ものフランス語圏のISEP加盟校へ交換留学生として留学が可能です。ISEPはアメリカの機関で、アメリカをはじめ、英語圏の大学も多数加盟しているので、留学先に英語圏を考えている人にもおすすめです。その他にも、南山大学の協定校がないところでいえば、イタリアなどへも交換留学生として留学が実質可能です。  ISEPへ応募するためには、まず、通常の交換留学と同じように南山大学の学内選考を通過する必要があります。ここで注意すべきなのが、ISEPへ出願希望する場合、同時に他の交換留学先を志望することはできません。つまり、ISEP交換留学か通常の交換留学どちらかを選択するということになります。そして、ISEPの加盟校であっても、その大学が南山大学の協定校である場合は、ISEPを通して留学することはできません。また、ISEPでの留学は、語学留学ではなく、基本的に現地の学生と同じように授業を受ける学部留学になるので、語学留学を考えている人は注意が必要です。  学内選考を通過したら、ここからが本番で、ISEPでの選考がはじまります。希望留学先を5校以上10校以内選択し、大学に直接応募するのではなくISEPが派遣先を決定します。推薦書やスコアなど、記入したり必要だったりするものはたくさんありますが、特に重要なのがPersonal Statementの作成です。志望動機書のようなもので、英語と希望する留学先の言語が英語以外の場合はその言語と両方で作成します。学内選考とは違い、ここでは世界中のISEP加盟校の学生が相手になるので、第一志望の大学に行きたいと思うならかなり真剣にやる必要があります。提出までの期間は2ヶ月程で、2言語での作成、また試験期間とも被りなかなか厳しいものがありました。結果は派遣先によってまちまちですが、私は3月のはじめに晴れて第一志望の大学に決まったとの通知が来ました。  ISEP交換留学は、通常の交換留学よりも求められるものが多く、なかなか大変ではありますが、南山大学の協定校ではない大学に交換留学生として留学が出来る、なによりその選択肢が広がるというのがその大きなメリットです。フランスの大学へ交換以外で学部留学をしようという場合、DAP枠(フランスの大学1年次に正規入学する方法)もありますが、高い語学力を求められ、リスクも高くなるので、南山の協定先ではない地域へ行きたい、協定先では自分の学びたいことができないなどという場合には、一度ISEPも視野にいれてみていただけたらと思います。(すべて2015年度秋派遣交換留学応募時点での情報です。)





リール市庁舎

ムールフリット(ムール貝とフライドポテト)

ムール貝の残骸

寮の部屋の様子

友達と

リールのカテドラル