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アジア・太平洋研究センター

Nanzan University : Center for Asia-Pacific Studies

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アジア・太平洋研究センター主催講演会

 Cinematic Contest of Popular Post-Islamism

 

報告者Heryanto氏   報告者Heryanto氏と森山氏

     Ariel Heryanto 氏          森山 幹弘 氏(右)

Associate Professor of Indonesian Studies      (南山大学 教授)    

    at The Australian National University)   

 

日 時 :  2012年6月7日(木)17:00-19:00

場 所 : 名古屋キャンパス J棟1階特別合同研究室(Pルーム)

 

 講演会は予定通り17時から開始し、最初に講演者の紹介を森山幹弘教授(外国語学部学部アジア学科)が行った後、およそ1時間の講演が行われた。参加者は南山大学の学部の学生が10名ほど、南山大学の教員が3名、名古屋大学の大学院に所属するインドネシア人学生が3名、一般の参加者が1名であった。

 アリエル氏は、パワーポイントを使いながら講演をされ、ビデオクリップや今回の講演で扱った映画の映像を紹介しながら、熱のこもった講演を行われた。

 講演内容の概略は次のとおりである。インドネシアでは1990年代になるとスハルト大統領が、それまでのイスラムを権力から遠ざけようとしてきた政策を転換させたことに伴い、インドネシア社会は日常の暮らしの中にイスラム化した現象が見られるようになった。それは、女性のイスラムファッションをはじめとして、音楽、テレビ番組、雑誌等の出版物という大衆的な文化に見る事ができる。敬虔な信仰心が、そのような消費される文化を通して社会をイスラム化したと言える。中でもベストセラーとなった小説を原作として制作された映画『愛の詩』(Ayat-ayat Cinta)の2008年の封切りと爆発的なヒットは、インドネシア社会のイスラム化のターニングポイントを象徴するものであった。この映画から見られることは、イスラムが商業主義と結びつき新しいタイプのイスラム(ポップなイスラム)を生み出したこと、またイスラム共同体としてのインドネシア社会の内部に、様々な対立を生み出したことである。一方、この映画『愛の詩』はイスラムの布教を主題としたものであったと言えるが、社会には賛否両論が巻き起こった。その後、この映画に対する賛成と反対の立場から、3本の映画が製作されるが、いずれも『愛の詩』を凌ぐヒット作とはならなかった。映画『愛の詩』の大ヒットの背景には、インドネシアの大衆文化の担い手が女性と若者を中心とした中産階級あるいはより下層の階級の支持があり、インドネシア社会のイスラム主義(Islamism)を考える際には、この映画に象徴されるように大衆文化を無視するわけにはいかないことを指摘できよう。 (文責:森山 幹弘)

 
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