フィリピン大学から、「女性と開発」などのテーマに関わってこられたエストゥディロ先生をお招きし、フィリピン農村での親から子への資産移転のあり方、特に土地の贈与や教育機会の提供のあり方について、大変興味深い研究内容を伺いました。
近年、途上国における教育、特に社会参加の機会が限られてきた女性が教育を受けることの重要性が指摘されていますが、従来、フィリピンでは女性の就業率が高く、特に高等教育では男性よりも高い値を示す傾向がありました。このような注目すべき状況を説明するにあたって、エストゥディロ先生らは、「フィリピン農村では、農作業の優位性が高い男子にはより多くの土地が親から与えられる一方、女子にはより多くの教育機会が与えられて農業以外の所得の向上が図られている」という仮説を示され、詳細な現地聞き取り調査に基づいて、この仮説がおおむね指示される結果が得られる点につき、ご報告をされました。
質疑応答では、なぜこのような結果が得られるのかという背景をめぐり、農地改革の進展や、海外での出稼ぎ労働機会の有無などが関わっている点について議論が深められるとともに、今後の研究可能性に関して広く意見が交わされ、大変貴重な勉強の機会をもつことができました。
|