15年にわたるインドネシアなどアジア農村でODA政策指導にあたってこられた谷本氏の講演は、高度なODA政策概念を、実践経験に裏づけられた、明晰でわかりやすいメッセージで伝えられ、多くの示唆に満ちていた。学生の感想も「目から鱗」「非常に勉強になった」など感動に溢れていた。谷本氏はインドネシア農村におけるODA政策は究極的に「地域住民が幸せな笑顔で、身体的、精神的、経済的に自立できる、地域創生のための内発的発展」でなければならないと説き、ややもすれば外国の援助が援助依存型の開発を生むことに警鐘を鳴らす。またアジア農村に日本農村の知見/経験を紹介(大分県一村一品運動、馬路村の特産品ゆずの成功)して活かすことの有用さを示し、地域創生の構成要素として、1地域住民の主体性と参加、2現場(地域)と外部資源の動員、3市場のニーズに適合、4政府の支援政策は、中央政府は調整と規制、ガバナンスの向上、地方政府は政策実行の調整能力を高めることをあげられた。最後に学生に、国際政策の現場で活躍するには、対象の地域と言語をよく学び、開発とODAについて学び、そしてフットワークの良さを備えるようアドバイスがあった。 |